RISING
純然たる”強さ”
「やってくれたでおじゃるな?其方」
ライアは、一気に急加速するとレイドに向けて蹴りを浴びせようとするが、その攻撃は意図も簡単に防がれる。
すると、ライアはエマを抱え、距離を取る。
「済まん。ライア」
「妾は大丈夫でおじゃる。して其方..妾が絶技を放つ。その隙を突けるでおじゃるな?」
「やったろうやないか」
小声で会話を終えた二人は立ち上がると、ライアが一歩前に出る。
「覚悟して貰うでおじゃるよ..奏嵐絶技”蝶調・超乱舞”!!」
空中へヒラリと舞い上がったライアが、構えた鉄扇を乱舞の如く連続で薙ぐと、発生した蝶が全て向日葵色の竜巻へと変わり、前方180度全てから、竜巻の嵐がレイドに向けて放たれる。
レイドは、前方に氷を発生させ、その竜巻全てを凍り付かせようとするが、氷を風が掻き消して、レイドへ襲い来る。
レイドは、氷のよって一瞬出来た、襲い来る風が迫る穴を瞬時に判断し、回避する。
だが、そこにエマの鎗が迫っていた。
「貰ったで!!」
エマの鎗を氷を纏った手刀で弾くと、腹部へとその手刀で一撃を叩き込む。
「エマ!」
ライアの声が届いた頃には、エマはその手刀の一撃の威力に身体が負け、レイドに向けて身体が倒れ行く。
「..あの嬢ちゃんの風を使って加速してきたんだろ。その反動は計り知れねぇな」
倒れ行く、エマの身体をレイドは片手で支え、エマがライアの疾風のギフトの加速を利用して来たと分析する。
そして、その場にゆっくりと下ろすと、呻き声を上げるエマを配慮する様に、仰向けに寝かす。
嘘だろ..ライアとエマ..
戦った事あるから解るけどよ。
勝てなかった俺の台詞じゃあ無ェのかもしれねェが
こんな簡単にやられるヤツらじゃ無ェだろ..
レイドってこのオッサンの強さは底が知れねェ....
ロードは固唾を呑んでこの戦闘に見入っていたが、レイドの一挙手一投足に目を奪われていた。
それは戦っていたエマとライアも同じだろう。
その表情からは言葉を失い、絶望と共にある確信を得たのが見て取れる。
幻魔団の四眷属、その肩書は兼ねてより強者の証、それは揺らぐ事は無い。
只、それを遥かに凌ぐ純然たる”強さ”が、二人に勝ちの目が無いことを、静かに、しかし、確かに告げていた。
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