RISING
互角を崩す覚醒の力
ロードの剣劇と、アルマのヌンチャクの連撃が織り重なり、戦闘が繰り広げられる後方で、レイドは、腕組をしながらロードの戦闘に目を配っていた。
刀を用いた斬術、体捌きなどの体術。
そして、ギフトによる特殊戦闘術。
大分、研ぎ澄まされてはいる。
あと一つ、何か扉を開ける切っ掛けがあれば
覚醒に至る可能性は充分だ。
レイドはそう、想いを巡らす中、両者の武器から放たれた攻撃が、真紅と卯の花色の炎を発して、爆発を起こす。
その爆風に怯むことなく、ロードは黒煙を斬り裂いて、アルマの懐へと潜り込む。
アルマも右足を踏み込んでその攻撃を迎え撃つ。
「迅いけど、そう上手くは行かないよ。..僕より迅いみたいだけどさ..」
「押し切ってやる。いくぜ!」
両者共に武器にギフトを纏って、躊躇なくぶつけ合い、両者の間で光と共に火花が飛び散る。
そして、一歩ずつ距離を取るが、そのまま連撃を叩き込む。
互角、そう取れる戦闘だった。
アルマは埒の開かなさに地面に卯の花色の炎で爆発を起こし、距離を取る。
「ふう..僕の任務はさ。君の捕縛じゃなくて後ろのその人なんだよね。..ちまちまやってたら上から怒られちゃうよ..全く..」
ブツブツと文句を垂れたアルマは首を一度鳴らす。
「来るか..」
ロードは、そのギフトの上昇を察知して、刀を構える。
「神炎覚醒..."吼吠猿破”..があっ!!」
アルマの身体が、卯の花色の獣毛と共に筋肉を膨れ上がらせ、牙が伸びて行く。
肩、手首、足首に炎を纏い、巨大化したヌンチャクを振り回し、威嚇する。
「ぐっ..」
ロードは、吼えたアルマの音が炎へと変わって爆風となった音波を腕で視界をガードし、片目を瞑って受け流す。
「声だけでそれかよ...なっ..?」
両眼を開けたロードの前にはアルマの姿が消え、上空直ぐ近くに迫っているのを察知する。
振り構えたヌンチャク二つを、頭上から振り下ろし、ロードを襲撃する。
「君はもう寝てなよ。..任務の邪魔..なんだよね!!」
ロードは、バックステップでそれを回避するが、岩場を砕いたヌンチャクを旋回させながら、片足で地面を蹴ってロードへを向かってくるアルマを視界に捉える。
「あの勢いで落ちてきて、片足で方向転換して、このスピードかよ..!」
ロードはそのスピードに圧倒され、態勢を立て直すのも遅れてしまう。
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