RISING
流浪人 vs 吼猿
掌を握りしめていたロードだったが、卯の花色のアルマの炎が今、まさにヌンチャクの旋回と共に、放たれ様とする刹那、とある事に気づく。
「....って、人ん家の庭で何晒しやがるッ!!」
ロードは、背中の刀を抜刀すると、一気に空中へ跳び、アルマのヌンチャクを剣劇で弾く。
「..何するの。..君からやられたいんだ?..あ..でも。勝てるかなあ..」
「..ゴチャゴチャうるせェ!!」
ロードは身体を捩じり、回し蹴りでアルマの身体を地面に向けて蹴とばすと、宙返りを決めて地面へと着地する。
アルマも器用な体捌きで、地面へ着地する。
すると、その様子を見ていたレイドが笠を被り直すと、ロードに声を掛ける。
「おい。ロード。..付いてこい」
レイドは声を掛けると、木々や草木をかき分け林の中へと、駆けて行く。
「..え?お..おい!」
「逃げんの?..追いつけるかなあ..」
ロードとアルマは、レイドの突然の行動に、困惑を隠せぬままその背を追っていく。
そして密林を抜けて、辿り着いたのは開けた岩場の場所。
火の街メルフレアに聳える国最大の活火山、エトナルルンガ山の麓であった。
「..しゃらくせぇがこんな所でいいだろ」
レイドを追う様に、ロードが、そしてその背を追う様にアルマがその場所へと到着する。
「急になんだよ..」
「しゃらくせぇ。あんな所で戦ったら家が滅茶苦茶だろ」
気を使った行動だと、漸く理解したロードだったが、何故それを先に言わないのかと訝し気な視線をレイドにぶつける」
そして背後から近付いてきたアルマがヌンチャクを旋回させながら口を開く。
「もう..追いかけっこは終わりですよね。..まあ追いつけませんでしたけど..」
アルマが迫るのを見たレイドは、ロードに声を掛ける。
「ロード。お前アイツの相手してみろ」
「..俺?」
「何処までやれるか見てやる」
急遽、戦えと言われたロードは、渋々と再度、刀を抜刀する。
「君とは戦う理由がないんですよ..」
「実は俺もだ」
二人が目線を合わせて間合いを測っていると、レイドは背後へと距離を開けて退避する。
「僕は中将”吼猿”アルマ・エルクラウド..そこ退いてもらうよ」
「俺はロード・ヘヴンリ―。オッサンは命の恩人なんだ..借りを返すつもりで、言う事聞いておくわ」
二人は武器を構えて、一気に地面を蹴って戦闘に入り込んでいった。
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