RISING
帝国軍の元・大将
「..!!」
突如、目つきを鋭くしたレイドが外に意識を向ける。
「..どうしたんすか..?」
「数はそうだな。15くらいか。訪問者だ」
「..え..?」
そう言い残すと、レイドを先頭に、二人は家から足を踏み出す。
するとそこには帝国軍の兵士がレイドの言った通りの数、立ち並び、銃を全員が構えていた。
「なんだこりゃ..」
「お前にではなく儂にの様だな。しゃらくせぇ」
そう会話をしていると、奥から暗い眼をした男がゆっくりと近づいてくる。
その男は将官にしか着る事の許されない羽織を着用していた。
「お久しぶりです..レイドさん..私の事、解りますか?..いや..私の事なんてわからないか..」
奥から声を掛けてきた男は、ネガティブな発言をしてきたものの、立ち姿は堂々たるものだった。
「しゃらくせぇな。お前みたいなネガティブな野郎の事は忘れねぇよ。アルマ..」
「それはそれは..光栄です...」
国王直下帝国軍 中将
アルマ・エルクラウド
34歳 173cm 62kg
黒髪を下ろし、前髪を眉毛の上でパッツンにし、襟足と脇が所々跳ねた髪形で、目の下には三日月のような形にアイブラックがシンメトリーに塗られている。
羽織の下に卯の花色の薄い黄色掛かったスーツを着用しており、黒いシャツと、スーツと同じ卯の花色のネクタイを巻いている。
「知り合い..?」
ロードの疑問を片耳で聞くと、アルマに目を向けたまま答える。
「ああ、ちょっと旧い顔見知りだ」
「そんなそんな..酷いですね。..まあ私なんてその程度という事ですか..」
アルマの反応に更に疑問を浮かべる、ロードだったが、次のアルマの一言でそれが全て解決する。
「私が入隊して最初に配属になったのは貴方の配下ですよ?レイドさん..いえ..レイド元..大将..」
アルマがニヤリと笑みを浮かべ、言葉を発し終わると、ロードが多少の沈黙を置いて驚きの声を上げる。
「..たいしょう..大将..大将ォォォ!?それって帝国軍の!?」
「しゃらくせぇ。随分と昔の話だ」
レイドが表情を崩さずにロードの驚きをゆるりと躱していると、アルマが右手を挙げて話し始める。
「あの時の貴方の行為は裏切り..許されるものではない..という訳で..お縄に掛かっちゃて下さい..あ..勿論、殺さないように鉛玉です。まあ痛いのは痛いですけど..」
銃を構えた兵士たちの腕に力が籠り、囲んだレイドを撃つ、合図を今か今かと待っていた。
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