RISING
目を覚ます赤髪
そして、船に送って貰っていた笠の男と重症の赤髪の男は、とある地点で船を下ろしてもらうと川岸にその笠の男に赤髪は担がれて行く。
そして、近くに落ちていた藁を笠の男はかき集めると、砂利道に雑に敷くと、赤髪をそこに仰向けに寝かせる。
そして残りの藁と小枝を纏めた後、ゆっくりと川の方へと向かう。
笠の男は右手を掲げると、河の中から飛び出した川魚を漆黒の氷を使って凍らせる。
その氷は水よりも質量が軽く、水の上へ浮かび上がると、別の氷で河をほんの少し、凍らせる。
すると、そこに凍った川魚が流れ、塞き止められる様に、その氷で動きを止める。
その手順で、数匹凍らせるとまた水の上を歩いて、その凍った川魚を回収する。
そして、氷を解除すると、魚を木の棒に差して、火を付け始める。
「介護の様だな。儂もお人好し..そんな所か。しゃらくせぇ」
少し愚痴を垂れた後、その男は火が付くと、魚を焼き始める。
そして、こんがりと焼けた頃、仰向けで寝ていた赤髪が鼻を動かし、突如目を覚まし、身体を起こし、声を上げる。
「..良い匂いッ!!...って痛ェェェェェ!!!!」
一気に身体を起こした赤髪は激痛により、絶叫する。
「しゃらくせぇ。傷に響くに決まってんだろ」
当然の様に注意した笠の男の姿へ赤髪の男は、目を向ける。
そして、多少の沈黙を破ってロードが口を開く。
「....オッサン、誰だ?」
「ま、全うな疑問だな」
質問の答えにはなっていないが、ロードは今の状況を整理しようと、自分の身体と回りの状況を見渡す。
「オッサンがこれやってくれたのか?」
ロードは顔や服の下に巻かれた包帯を指差して質問する。
「まあ、半分正解で、半分不正解だ」
淡々と答えた、笠の男は藁の上に座っていたが、焼けた魚の棒を手に、赤髪へ手渡す。
「先ずは食え。体力回復には食は必要だ」
生唾を飲み込んだ、ロードはそれを受け取ると、少し眺めた後、勢いよく齧り付く。
そして一心不乱に焼き魚を腹に納めると、竹筒に入った水を手渡され、それも勢いよく口に入れ、飲み干す。
息を一度吐くと、満面の笑みを浮かべた赤髪は笠の男に向けて口を開く。
「色々ありがとうございます。俺はロード、オッサンの名前は?」
其れを聞いた笠の男はゆっくりと口を開く。
「その前に、二つの理解をして欲しい」
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