RISING

鳳 鷹弥

幻魔団四眷属 エマ・メディックス


「..まあ、何や。ウチもこれじゃ詰まらんし。..戦っとくのも一興やな」


突如、雰囲気が変わったエマに、ロードも緩んだ表情を正す。


「アンタ、ウチのライアと戦って生き残ったんやろ?なら、詰まらん勝負にはならんやろな」


その言葉と共に、エマは背中の鎗を旋回させ、ロードらに突き付ける。


「大業物二十一工の一振り”愁蘭しゅうらん”や。斬れ味は保証するで」


「..ん?鎗なのにそれも大業物なのか?」


「何や。アンタ無知やな。業物言うんは、刀匠が打った刃が着いた武器の事やで。刀が多いのは事実やが、槍や斧も存在するわ」


「へぇ。そうなのか。また一つ勉強になったぜ..」


ロードは背中の鳳炎を抜刀すると、同じようにエマに突き付ける。


「..まあそれで、勝った気になられても。困るぜ..アンタを退かしてゆっくり、アイツらを追わせて貰う」


「..ええ気迫や。ほな、行くで!」


エマは青柳色の雷を鎗に奔らせると空中に飛ぶ。


「レザノフさん、一度下がって下さい。シェリーを頼みます」


そう言い残すと、紅蓮の炎を纏ってロードは、空中へと同じように飛ぶ。

そして、炎を刀にも纏わせると、エマの鎗と思い切りぶつける。

高い金属音と共に、両者の鍔迫り合いが空中で展開された。


「ウチの攻撃に怯まんとは、アンタの親父様・・・も喜ぶやろな」


「..アンタ..何でそれを....?」


「..知っとるわ。アンタ、この戦争にただ参加しとるだけやと思っとったか?いつの間にやら..中心やで..」


エマはロードの動揺を逃さず、地面へと青柳色の雷の斬撃で吹き飛ばす。

そして、地面に衝突しそうになった瞬間、シェリーが生成した光の魔法陣が盾となり、衝突は防がれる。

更に、レザノフの二丁拳銃の乱射により、エマは回避を優先し、距離を取る。


「ありがとな..助かった..」


ロードは立ち上がると、エマへ間合いを詰めて、敢えて鍔迫り合いの状態へ持っていく。


「..アンタ..さっきのはどういう意味だ..?」


「そのままの意味や..ウチらに命令を下す人間の誰かが、それを突き止めたんや..。しっかし..それを秘密にせなアカンゆうのは大変やな。..内緒にしといたる。今は戦いを満喫しようや」


エマの攻撃にまた、弾かれ、ロードは鎗の攻撃に防戦一方になる。

動揺は、やはり、隠しきれていない様だった。



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