RISING

鳳 鷹弥

金獅子 vs 蒼騎



「金獅子エルヴィス・ハワードですね。さて、どんな戦いになりますかね」


マリアは腰の鞘から抜刀した大業物二十一工の一振り”彩一文字さやいちもんじ”に蒼い雷を纏って、下斜めからエルヴィスに斬り付ける。

エルヴィスは両の腰に差した鞘から脇差を一振り、鞘から少しだけ抜刀し、その一撃を受け止めて見せた。

そして、そのまま抜刀の勢いを利用して、マリアの刀を弾き返すと、もう一つの刀を抜刀し、両手に刃を携える。


「さあ行くぜ。”雷獅子らいじし”」


エルヴィスの刀は良業物から最上大業物まで含め、七十八工の中で、唯一の、二刀一対の業物であり、刀身に雷が奔ったかのような装飾を施されている。


「この気迫..やはり、舞台が違う..」


ウィルフィンは感嘆の表情を浮かべて、背後からエルヴィスの背中を眺める。


「余裕..という訳ですか..」


マリアは刀身から、蒼い雷を奔らせ、電光の斬撃をエルヴィスに向けて放つ。

すると、エルヴィスは脇差で地面をなぞると、そこから黄金色の雷が立ち昇り、マリアの雷を相殺する。


「同じ迅雷のギフトでも、俺の方が強いと思うぜ?蒼騎そうきマリア・シリウス」


「....勝ち誇るのは勘弁して頂けませんか?エルヴィス..」


マリアは、蒼い雷を足に纏い、瞬間移動の如く、エルヴィスの背後に回る。

そして雷を纏った刀で薙ぎ払う様に斬り込むが、エルヴィスは刀で弾くと、脇差を手に踏み込み、マリアの喉元に突き付ける。



「迅雷のギフトの特性は、貫通。だがな、同じ雷をぶつけて相殺しちまえば、何の問題も無ェ」


突き付けたまま、一撃を叩き込まないエルヴィスにじれてマリアが脇差を刀で弾き、距離を取る。


「さあ、今度はこっちからだ」


エルヴィスは笑みを浮かべると、地面を蹴って間合いを詰めると、脇差をマリアの足元に向けて飛ばすと、雷の特性、貫通が作用し、コンクリートを貫き、突き刺さる。

そして、そこから一気に雷が舞い上る様に、マリアを襲う。

それを回避したマリアが空中へ避けると、そこには先回りしたエルヴィスの姿があった。

刀の柄で腹部を穿ち、地面へ落下させると、雷を薄く展開し網の様に形成すると、そこにマリアが落下する。


「安心しろ。そこに殺傷能力は無ェ。少しの間麻痺してそこに寝てて貰うだけだ」


エルヴィスは脇差を拾い上げると、マリアを一瞥する。



「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く