RISING
意思を継ぎし新たな太陽 ー継承ー
「この国に来て思った事は、この国には本当に国を想い、戦っている方たちがいる事。それぞれの正義が交差するからこそ起きた戦争....勿論、戦争を肯定するつもりはありません。....でも、この戦争を糧にきっと、プレジアは更にいい土台を作り、この歴史の上に立ちます」
普段の慌てたり、おどおどした表情も、心配を表に現すことなく、シェリーは力強く意思を述べる。
「だってこの国には、本当に心からこの国の未来を憂い、身体を張れる方たちがいるんですもの。開国を経てのプレジアの発展の為に呼ばれたと言うのに、私は今、過ごす日々の中で、沢山の事を学ばせて貰ってます」
シェリーは少し、俯き笑みを溢すと、また目を見開き、エルヴィスに向けて眼を輝かせて言葉を発する。
「この、人も文化も素晴らしいプレジアの国を、バルモアの人たちにも知ってほしいです」
ずっとシェリーの話の腰を折らぬ様、黙って聞き入るエルヴィスは目を逸らせなくなって来ていた。
「私はまだ子供ですから。甘い考えなのは解ります。わだかまりや諍いはきっと直ぐには無くなりません。....でも何年、いや何十年。もっと掛かるかもしれないけど....いつか、全て知った上で笑いあえる時代が来るといいって....本気で思ってます」
ニッコリと笑みを浮かべて、エルヴィスへと言葉を紡いだシェリーに対してエルヴィスは心の中で呟く。
シェリー・ノスタルジア....
想像とは違ったな....
「私たちバルモア王家、ノスタルジアの家紋は”聖なる太陽”そして歴代王女は、国民を聖なる光で照らす太陽の様な存在であれ。..と云われ”聖陽姫”の異名を継承します」
少し息を溜めてシェリーは覚悟を示すように声を発する。
「....一晩考えました。聖陽姫の名前をたった今から名乗り、この国との繋がりを創り、胸を張って継承できるように私も戦う。それが私の意思です!」
力強く言ってのけたシェリーの横で、ロードとレザノフもほっとした表情でシェリーを見つめる。
少し、頑張り過ぎたか、一息ついて顔を赤らめ、俯くシェリーを見て、エルヴィスが口を開く。
「....シェリー。ありがとう....お前は個人としては尊敬に値する強さを持ってる。本気で話してくれてありがとう。ロードの言う事も、ウィルフィンの提案も、それを呑んだ俺らも全て、間違いじゃ無かったって示してくれた」
エルヴィスは真面目な表情を崩さず、感じたことをそのまま言葉にして見せた。
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