RISING

鳳 鷹弥

意思を継ぎし新たな太陽 ー受諾ー 








三人は、エンペラールームへと大きな扉を開けると、広いリビングの中心に据えられた大理石のテーブルの四方に置かれた高級なソファに座りこむ、金髪の男を視界に入れる。


「良く来てくれた...まあ座ってくれ....」


その男に誘導されるがまま、三人はシェリーを中心にして並んで、金髪の男の正面に座る。

すると奥からウィルフィンが現れ、何も言わず、近くの椅子に足を組み座る。

そして、金髪の男が息を吐いて声を挙げる。


「何だかんだ、初めましてになるな。バルモア王家、次期王女シェリー・ノスタルジア。挨拶が遅れて済まない。護国師団反乱軍総長エルヴィス・ハワードだ」


「はい。本日はお招き頂いてありがとうございます。シェリーと申します」


「ああ。それに護衛隊隊長レザノフ・スタールマン。そして、ロード・ヘヴンリ―。改めて良く来てくれた」


エルヴィスが一度、口を噤むと、再度息を吐き、テーブルに両拳を付ける。


「先ず先にこれだけは言わせて貰う。本当に済まなかった....心から謝罪させて頂く....シェリー・ノスタルジア」


エルヴィスはそのまま深く頭を下げ、謝意を示す。

その行動に正面に座った三人は呆気に取られる。


「俺ら、護国師団が異国を退けようとする行動は間違った判断だとは思っていない。だが、シェリー、お前個人に恨みがあるものなどいない。そんな事は解っているつもりだった....」


エルヴィスが深く頭を下げたまま、話していく間を上手く使って、シェリーが口を開く。


「頭を上げて下さい。エルヴィス様」


その声にゆっくりと頭を上げたエルヴィスが続けて口を開く。


「済まねェ..。そこのロードの言葉をウィルフィンから伝えて貰ってな。....んな当たり前の事、わざわざ言われたの二度目でよ。なんか思い返す機会を貰った気がしてな」


『夷敵だと?テメェにはアイツらがバケモンにでも見えるつーのかよッ?国は違えど同じ人間じゃねぇか』


光の街でウィルフィンに対し、ロードが言い放った言葉を思い返し、エルヴィスは小さく笑みを浮かべる。


「という訳だ。それが今回アンタらを招いた理由。俺もアンタの話を全て訊く。そして、俺の話を聞いて欲しい。頼む...」


「はい....。元よりその気持ちを持って此処にいます」


面を食らうほどに、驚いたエルヴィスからの謝罪、そしてそれを経て改めてバルモア次期王女として公使になりこの国に訪れたシェリーとエルヴィスの会談が始まる。



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