RISING

鳳 鷹弥

反乱軍参謀の意地悪







ロードは、サバネと別れ、シェリー達を探して、フォスコール地区を歩いていると、雪景色の公園の中に、ある人物を見つける。

その女性はフードを被っていたが、すれ違いざまに目が合い、お互いが足を止める。


「アンタは....確か....」


「はあ...アドリーよ。風の街以来かしら?」


二人は人混みを避け、公園の奥の大きな岩が目隠しとなる影へ移動する。


「ん。なんつーか。あん時は手当してくれてありがとな」


「別に....」


素っ気ない返答のアドリーに対して頬を掻きながら、ロードがまた口を開く。


「後、シェリーの事も、狙わないって決めてくれてありがとう....」


「.....はあ...それは、ウィルフィンの嘆願をエルヴィスが認めただけ。私たちに...それ以上はないわ...」


「でも...ありがとう」


「貴方もエルヴィスと会ったなら、どんな男くらいかは解ったでしょう....?」


ロードの頭の中に、砂の街で邂逅した反乱軍総長エルヴィス・ハワードの顔が過る。


「ああ。アイツは世間が張ったレッテルのような男じゃあ無かった。なんつーか、強くて...えーっと俺、頭悪ィから。言葉が見つかんねーけど.....いいヤツだと思う」


ロードの台詞にアドリーが呆気に取られ、小さく笑みを溢す。


「....ぷっ....ふふ。やっぱりロード、貴方は変わってる。面白いわね」


アドリーのその表情に、今度はロードが呆気に取られる。


「アンタの笑ったとこ....初めて見た....」


「何よ。..はあ、私だって笑うくらいするわよ。人の事何だと思ってたの?」


優しい表情で話す、アドリーを見て、何だかロードも笑顔が溢れる。


「そういう意味じゃあ無いって...。でも、アンタ、笑ってるとスゲー美人なのな....」


流れで言ってロードは笑っていたが、何だか自分の発言を思い返して恥ずかしさを覚える。


「へぇ....?」


赤面のロードと距離を詰め、下から上目遣いで覗き込むように、意地悪な表情を見せるアドリーを直視出来ずしどろもどろしながらロードが口を開く。


「オマ....あっ....近ェっつの....!」


「初心ね....はあ...でも貴方はお姫様に恋をしてるんでしょ?他の女の前でそんな態度...取ってちゃダメよ?....浮気だわ....」


アドリーの言葉に赤面を披露しながら、声にならない反論を右手の人差し指を突き付けながらするロードを見てアドリーは意地悪な笑みを浮かべていた。



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