RISING
隼の真骨頂
「さあ隼の真骨頂を見せましょう」
ガスタが呟くと、地面に降り立ったアノンへ視線を向けながら翼がピンと張る様に広がる。
隼は、ピンと翼を張り旋回し鷲掴みにした獲物を食らう特徴がある。
ガスタは、奏嵐のギフトを活用し、一気に平面を低く加速すると。アノンとの距離を一瞬で詰めてアノンの肩を足で掴む。
そして鎖鎌をまた交差させ構えると一気に交差させたまま横に薙ぎ、アノンの胸元を切り裂く。
「くそが....ァ....」
今回はアノンの鎧を切り裂き、鮮血が舞うと、アノンは反射で左手の鰐口でガスタを振り払おうとするが、ガスタはアノンの肩を足場に後方宙返りをしながら手を伸ばすと手首の鎖が伸び、アノンの右腕を捕らえる。
そしてそのまま翼を用いて空中を旋回し始めると、アノンはそのスピードに態勢を崩す。
が、何とか鰐口で鎖を引きちぎり、その状態を脱したかと思えば、背後のガスタが翼をはためかせ、その翼から放たれた羽根が一枚ずつ鋭利な刃物の様に、ギフトを纏って襲い来る。
「テメェ...畜生が..ァァァァァ!!!!」
それが着弾したアノンが爆風と共に吹き飛ぶと空中のガスタは一気にアノンへ向けて急降下を始める。
「終わりにしましょう。アノン・ヴィルヘルム....」
構えた鎖鎌を振りかざすガスタに応戦しようと吹き飛んだ身体を何とか起こし、大刀を盾にしようとしたアノンであったが、ガスタのスピードには追いつけず、大刀を弾かれ、またも背後へと吹き飛ばされてしまう。
そして雪山の壁面に大きな音を立ててぶつかると、落ちて来た雪の下敷きになってしまうが、鰐口、尻尾、大刀を用いて這い出るように、何とか脱出する。
「クソがァ...俺がお前に壊されちまうのかよ..」
「何とかまだ動けそうですね。自力で医者に掛かりなさい。アノン」
「私は、まだ貴方には適わないのですね..ですが見逃していいのですか?回復したらまた貴方を狙いますよ..?」
平静の状態で身体を起こしながらガスタに問いかけるアノンへ、ガスタはにっこりと笑みを浮かべ、口を開く。
「ロートルと言えど、まだ負けられません。しかしこんな時でもかつての教え子の成長には胸が躍りましたよ..では、また」
アノンとの師弟関係。それを匂わせたガスタは翼をはためかせ、氷の街の空へと消えて行く。
砂の街で対峙したランスと四眷属の一人、スネイク・ドラーアッシュも近い会話をしていた。
この二人の正体、そして守るべきある方、謎は深まるばかりである。
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