RISING

鳳 鷹弥

流浪人 vs 馬猟



「追わねぇのか....?」


ロードの問いに、ヒューズはため息交じりに答える。


「邪魔するなら貴様もターゲット....リズムに乗ってライムをかじる。馬猟ばりょうヒューズ・ロギウス、登場.....!」


多少、声を低く発したヒューズにロードは不気味な威圧感を覚え、背中の刀の柄に手を掛ける。

すると、ヒューズも投擲用にも用いられる槍、ジャベリンを頭上で旋回させた後、ロードに向けて構える。


「さっさと倒して、進む。荒む気持ちにバイバイ....アーイエー」


「つーか訳わかんねぇから、普通に喋れねぇのかよ....?」


「ん?喋れるっつーの。ボンジョルノぉ...アーイエー」


「チェッ....後ろの脈絡無いのが、訳わかんねぇって言ったんだけどよ....」


ロードは刀を抜刀すると、刀に業火のギフトを込めて空中に舞う。

空中で体を旋回させると、ヒューズの頭上から炎を纏った刀を振り下ろす。

ヒューズはジャベリンを旋回させ、槍の刃先から松葉色の蔦を発生させ、ロードの刀を縛り付け、灼け切れていく蔦を回して、ロードを押し返す。


「樹木のギフト....普通なら相性は良いはずなんだけどな」


「ギフトは神の力。楽勝な相性は無いってーの。樹木の性質は増殖。それにやられてお前はショック....アーイエー....」


ヒューズの足元から幾つもの蔦がロードに伸びていく。

それを軽いステップで躱しながら、刀で斬りつけて行くロードだったが、切り落とされた蔦が空中で身を寄せ合い、大きな大木を形成した。

それが勢いをつけてロードの頭上に落下してくるが、ロードはそれを深紅の業火を斬撃に変えて、真っ二つに灼き切った。

そこの虚を突くように、ヒューズはジャベリンを構え、ロードに突きの構えで突進してくるが、ロードは身体を捩じり、ヒューズの脇を抜け、刀の柄で脇腹に一撃を入れる。

痛みに膝を着く、ヒューズの背後で、ロードはかつての事を思い返していた。


見える....


覚醒状態にはまだ身体が追いつかなかったけど....


この段階なら..目も反応も追いつく....


アイツはもっと迅かった....!


ロードの脳裏にかつて森の街でブラッドに付けて貰った修業がフラッシュバックされる。

戦いの中で、ギフトの操作レベルも上昇し、かつての戦いとマッチしたことで、着実にロードは強くなっていると実感していた。



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