RISING
死蜘蛛狂天 三羽烏 ソフィア・アインプテラ
「さあ観念しろ」
腰に差してあった短剣を抜刀すると、掌でクルッと旋回させ、ガスタへと突き付ける。
こちらも、大業物二十一工の一振り、唐椿であり、刀身に椿の花と翼を持った竜が彫られた代物である。
ソフィアは刀身に白銅色の氷臥のギフトの力を開放し、ガスタに向けて氷の斬撃を飛ばす。
ガスタは、双つの鎌が白き鎖で繋がった鎖鎌を構えると疾風のギフトを込め亜麻色の風を巻き起こし、鎖鎌の乱回転で氷の斬撃を弾いて見せた。
その斬撃が氷の壁を破壊すると、大きな物音を立てて氷の壁で隠れていた奥の光景を映し出す。
「おおっ!?あれって滝か?
「もしかしてここって....」
ロードが驚嘆の声を挙げると、シェリーが何かに感づいたように声を出す。
「そう。ここはセイラントスフォールの滝の内側に作られた我がレイノルズ家の墓所なのですよ」
ロード達は、想像以上の偶然の連続で此処に辿り着き、ガスタと出会ったのだと実感する。
だが、安穏な会話も此処までと言わんばかりに、ソフィアが短剣を低く構えるとガスタに向けて突進し間合いを詰めてくる。
ガスタは当然とばかりに反応し、鎖で短剣の一撃を受け流すと、片側の鎌を氷の地面に突き刺し、そこから亜麻色の突風を起こし、ソフィアを後方へと引かせる。
そして、もう片方の鎌をソフィアに向けて放り投げると、鎖を手に乱回転させ襲撃する。
「歳は喰っている様だが、上等な腕前だな。だが....」
襲い掛かる鎌を短剣で撫でるように斬り付け、鎌の刃先を凍結させ、ゆるりと氷の地面に降り立つ。
「貴女もその若さで此処までとは。流石、歴史ある隠密傭兵の三羽烏として数えられるだけはありますね」
凍った鎌を鎖で引き戻し、地面の氷とぶつけ割って見せると、ソフィアに向けて穏やかな視線を送る。
「貴様。私に殺意を向けて来ないのだな」
「襲われ狙われる立場ですから、一々目くじらを立て、殺気に代えていては私の身体が持ちませんよ」
「ふん。ならその余裕を保ったまま、捕縛させて貰うぞ。死して巡らせる事はしない。安心しろ」
ソフィアは、相も変わらず表情を変えずに、短剣を構える。
だが、またも後方から今度はソフィアに向けて声を掛ける来客が現れる。
「やっと見つけたぞ。ソフィア!」
ふと視線を送ったソフィアが表情は崩さないまでも目を丸くするのが解った。
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