RISING
影忍 vs 鰐鎧
間合いを取りながら、戦いのシュミレーションを練り上げるシルヴァを見て、アノンは呆れたように、大刀を、紫色の鉄鏡のギフトで固めていく。
「時間稼ぎかな?いくら稼いだ所で、君が私に勝つのは不可能、と認めて、壊れてしまえ....」
アノンは一気に、その場から低く跳躍すると、シルヴァの頭上で大刀を振り下ろす。
シルヴァは、アノンの脇を抜けて、頭上に跳躍するも、的を失った大刀が雪を突き抜け、地面に大きなヒビを入れたのを見て、現実を思い知る。
一撃.....致命傷とも成り得るな....
用心は留めて置かなければ。
シルヴァは空中で身体を旋回させながら、手裏剣を三つ同時にアノンの背後に向けて放つ。
だが、アノンは躱す事も無く、ギフトの硬化のみで弾いて見せた。
そして、首の音を鳴らしながら、ゆるりとアノンが振り向く。
「飽きたよ。ギフトくらい使ったらどうだい?」
「是非も無し。良かろう。此処からが本番だ」
静かに風が吹いた戦場で、驚くことが起きる。
ほんの瞬きの一瞬で、アノンはシルヴァの姿を見失ったのだ。
アノンが不敵な笑みを浮かべると共に、白き風がアノンの脇腹を吹き抜けるとともに、鮮血が舞う。
「...なに...?」
アノンは自身のギフト、その特性でもある硬化が間に合わず、初めてシルヴァを前にして、傷を付けられたのだ。
そして、風だと錯覚していた者がシルヴァだと認識すると、背後に忍刀を振り向き、膝を付いている、シルヴァに目を向ける。
「ほう。何だ、やればできると言ったところか?その、力があって何故、攻め手を打って来なかったのか....」
ゆるりと背中を向けたまま、立ち上がるシルヴァに向けて不敵な笑みを浮かべたまま、アノンは声を投げかける。
「済まぬ。是程、安易に行くとは思っても見なかったのでな。多少、貴様の力を見誤っていたようだ」
素直とも受け取れる、シルヴァの言葉が進んでいくと共に、アノンは今までの余裕を失っていき、唇を噛む。
「さあ行くぞ。私の疾風のギフトの速度で、貴様の鎧を砕いて見せよう」
アノンはシルヴァの言葉が結ばれるのと同時に、大刀を地面に振り下ろし、雪の中へ突き刺すと、眉間に皺を寄せ、シルヴァに鋭い剣幕を飛ばす。
「決まった....テメェは此処で必ず壊してやるよォォォ!!!!」
人が変わったように、叫ぶアノンの言葉がセイラントスフォールの滝に響き渡る。
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