RISING
過る不安と再燃する決意
一行は目的地を目指して歩き始め、その道中ふとロードが呟く。
「しっかし、死蜘蛛狂天に幻魔団、そして反乱軍。シェリーにとっては危険な奴らばっかだな。ガスタってのが標的になってはいるけど.....」
「姫様にとっては辛い道程になるかもしれぬ」
ロードとシルヴァ、二人の言葉でシェリーは悲しい表情を浮かべて俯いてしまう。
「あ、悪い悪い。シェリー、不安にさせたよな?大丈夫、俺らで絶対護るからよ」
あたふたと身振り手振りでシェリーを励まそうとするロードを見て、作り笑いだと一目で解る笑みを浮かべるシェリーを見て、ロードは慌てた表情を失っていく。
「.....済まぬ」
少し先を歩いていたシルヴァがふと歩みを止めると、背中越しに謝意の言葉を呟く。
「本来なら、予測しえた状況。人員を揃える必要があったが。先の水の街の戦いで負傷したもの。未だ、交戦中で動けぬ者。.....近いうちに起こす作戦の為、水面下で動く者。この終わりの見えぬ戦乱の中で、革命軍は疲弊の一途を辿っている。我々だけではないだろうがな...」
シルヴァの言葉に二人は言葉を失う。
シェリーがプレジアに来たときから、この戦乱の時代は始まっていた。ロードからすれば、あの始まりの街での交戦から戦火に身を投じたという事実はあるものの、各軍のメンバーはその以前からも命を賭して戦ってきたのだ。
「だが、言い訳をしても始まらぬ。今の状況を受け止め、最善を尽くす。勿論、最善とは姫様の御命に相違ない。このシルヴァ、ノア様の命を貫かせてもらう」
言葉を紡ぐと、また歩みを進めるシルヴァの背中を見てロードは、笑みを浮かべる。
「もちろん。俺もいるぜ?レザノフさんだって直ぐに追いついてくるさ。母親の意思を継ぐって決めたんだろ?」
シルヴァ、そしてロードの言葉で悲しい表情を一変させ、あの時の決意、母親の意思を継ぐという自身のこの国を開国させるという気持ち。それを思い出したシェリーは、笑みを浮かべ、頷くと小走りでロードと共に、シルヴァの背中を追っていった。
淡々と喋ってはいるけど
このシルヴァってヤツ、意外と情に熱いんじゃねーのか?
ノアが幹部に指名してるのも
解る気がするぜ。
ロードは、心の中で呟くと近くから水の音がうっすらと聞こえ初め、それから数分して目の前には、ケベルアイスに聳える大滝、セイラントスフォールが見えて来ていた。
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