RISING

鳳 鷹弥

帝国の幹部衆









「....揃ったな....」



薄暗い部屋の黒革の椅子にどっしりと腰掛けたガタイの良いその男は、視線の先の壁に大きく取り付けられた15ものモニターに一人ずつ映る男女を順番に一瞥していく。


そして、大きなため息と共に、声を挙げる。


「此れは上からの檄だ。正直、俺からすりゃどうでもいい。ヴェントのロジャーズグリフに続いて、昨日のアリアアクア、マルセーニュ港。中将ランク迄出張って、この様。国のジジィ共はお怒りだぞ?オメーら」


モニターに映る中将、ヨハネ・ヒューストン、そしてバレット・ワグナーは唇を噛む姿が映るが、声を発する男はその姿を視界にすら既に入れていない。



「オメーらが、手抜いてて此れなのか。本気でやっててこの様なのか、なんつーのはどうでもいいが、結果としてこの様じゃあよ。グチグチいびられんのァ元帥であるこの俺だ」



そう、モニターに映る15人とは、帝国軍の少将7名、中将5名、大将3名。


つまり、気怠そうに低音で話すこの男こそ、帝国軍の頂点、元帥ロスト・ヘルダーク。


暗がりの一室で、シルエットから鋭い眼を時折映す。



「つー訳だ。大将にも現場へと出張って貰う」



ロストの声に反応するように、一つのモニターの男が声を挙げる。



「やっとかよォ....待ちくたびれたぜェ?ロストさんよ」



銀髪の男が不敵な笑みを浮かべると、他のモニターから落ち着いた女性の声が割って入る。



「慎めべリアル。相手は元帥様だぞ?」


「オイオイ、ララ....喧嘩売ってきてんなら買うぜェ?あァ?」


「貴様、余程その口不要と見えるぞ」



金髪のララと呼ばれた女性と銀髪のべリアルとの間に口論が生まれそうになると、一人の男がゆるりと声を挙げる。



「....ロスト元帥....。俺らへの出撃準備、及び発破を掛けるってのが今回の議題って事でいいんだよな?」


「ああ。そうだアビス」


冷たい眼をモニターに移しながらその男は、再度口を開く。



「俺らは所属を共にしているのみ。要件、議題以外の話題に興味はない。国王直下帝国軍大将アビス。承った。失礼する」


その言葉と共に、アビスのモニターの接続が切れ、漆黒を映し出す。



「らしいな....解散だ。ご苦労」



ロストの声に呼応し、各モニターの接続が落ちていく。ロストは大きなため息と共に葉巻を口に加え、頭上へ、煙を巻き上げた。







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