RISING

鳳 鷹弥

幻騎士 vs 鮫弾

翳した鏡が反射によって光を発し、バレットが目くらましに合う。

ほんの僅か、1秒程の時間バレットは目を閉じ腕で目を覆ってしまう。

すると、そのほんの1秒後のバレットの視界には、西洋鎗を構えて突進してくるデュークの姿があった。


「そないな一発芸で出し抜いたつもりなんか?」


バレットは動揺することも無く、七支刀でデュークを上段から袈裟掛けに切り裂く。

だが、その斬られたデュークが蜃気楼の様に消失した。


「…しまッ…!」


バレットは自らの犯したミスに気付くと、一気に踵を返して振り返ろうとする。

その背中には、正面に居たはずのデュークが後方の空中から鏡に映した様に西洋鎗を構えて斬りかかる。


「もらったぞ。バレット…!」


「ぐっ…!」


何とか水を纏った七支刀で防ごうとするバレットだったが、デュークの西洋鎗がほんの少しタイミングで勝った。

だが、西洋鎗の側面に何とか触れた七支刀が鎗のコースを多少変えて、バレットの右肩を掠める。

鮮血が舞うのと同時に、バレットが足から水を噴射させ、バックステップの加速装置に置き換え、距離を取る。


「流石だな、そう簡単には行かぬか。だが、次は貫くぞ…?」


鎗の鋒を、バレットに向けてデュークが言葉を発する。

バレットは肩の傷を軽く押さえたまま、ニヤリと笑う。


「商船を沈めた帝国軍ちゅうだけで、これだけ容赦があらへんなら、あんたにもう1つスパイスを与えたるで」


デュークは、バレットのその言葉を不思議がりその先を聞くために耳を澄ます。


「その商船を沈める作戦を任された部隊の隊長は、当時中将やった俺の父親や」


その事実に、デュークは兜の下で目を丸くする。

商船を沈められ、鎖国により貿易商の一家の道を断たれたデュークの家系。

その作戦を実行した帝国軍の当時の中将は、バレットの実の父親。

巡り巡ってその世代から見た、子供世代が大人となり対面しているのだ。


「そうか…。ならばこの勝負は運命とも言うのか。バレット、貴公を貫き我が念願貫かせてもらう」


「そう簡単にブレへんか…。精神的に強いみたいやな」


ニヤリと笑ったバレットは今度、自ら攻め込もうと地面を蹴る。

水が逆巻き、その渦が身体を巻き込む様に加速していく。

息を吐き、デュークも地面を蹴るとマントを風に揺らしながら斬り込む。

その中心で2人の武器が大きな金属音を奏でて衝突した。



コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品