RISING

鳳 鷹弥

東端コンテナ付近の激突

一方、東端コンテナ付近では、砂の街でロードと邂逅し、反乱軍のガルダと戦闘を繰り広げた帝国軍のオーズが樽に腰掛け、瓢箪の酒をグビグビと呑んでいた。


「あっしのトコには…ヒック…アンタかい。今良い気分で…ヒック…酒を呑んでるだがねぇ…」


海を見ながら顔を紅潮させながら、酒を呑むオーズの元に一人の大柄の男が近づいて来ていた。


「邪魔しちゃったかな。確かにこんな良い景色を見ながら一献…うむ。たまらんだろうな」


その大柄の男も、ツカツカと歩み寄りながら海を眺める。


「なんだい…アンタもイケる口かい?それならどうだい…ヒック…戦闘なんてやめて、あっしと一杯…」


ニヤリと笑って瓢箪を突き出して見せたオーズを見て、その男がゆっくり深く息を吐く。


「うむ。悪くないだろうな。だがしかし、時と場合は読まねばならん。そういう流れだ」


独立師団革命軍 参謀
フロウ・ダルバイン
28歳 195cm 105kg

灰色の逆立った長髪に、バツ印の額の傷と面長の顔と大きな耳。

革命軍の軍服の前を大きく開けて、その下は素肌が覗いていて、胸元に大きく額の傷と同じ様なバツ印が見える。

腰元に灰色の布を巻いていて、先端の尖った茶色のロングブーツを履いた、褐色肌の男。


「お堅いねぇ…ヒック…まあそう簡単に一杯傾けられるんなら、こんな戦争なんて起きやしないんだろうねぇ…」


「うむ。全くその通りだな。流れを無視すれば美味い酒が呑めるんだろうがな」


フロウが足を止めるも、オーズは御構い無しに酒を飲み続ける。


「あっしにはわからないねぇ。アンタみたいな武闘派が…ヒック…今や革命軍の参謀なんだから…」


「うむ。人は見た目では無いという事だ。俺には最早、個人の野心は無い。ノアというカリスマをどう流れに乗せるか、それしかないんだ」


「忠実な部下を持ったねぇ…ヒック…あの狼小僧が…」


オーズの言葉に何か引っ掛かったのか、フロウが眉間に皺を寄せて、大槌を構える。


「狼小僧…か。ノアは今や、この国を変え得るキーパーソンだ。流れは最早、ノア…そして革命軍にあるのだよ」


その鬼の形相を見たオーズが、小さく笑みを浮かべて樽から立ち上がる。


「怒らせる様な言い方をしたつもりは無かったんだがねぇ…ヒック…やはりまだ青いねぇ…」


「うむ。俺は青い。この海の様にな。だが、ノアが描くこの国の未来の流れは、どうしても掴まねばならん…」


2人の視線が合い、帝国軍の少将と革命軍の参謀の激突の火蓋が切られようとしていた。

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