RISING

鳳 鷹弥

森の街に別れを告げて

「まあ、帝国軍の中将クラスが何人かの少将を率いて隊を編成するだろう。赤髪くん、お前もついて行ってやんな」


ブラッドは苦笑いをしていたロードに向けて言葉を発する。


「当たり前だ…護るって言ったばかりだしよ」


「はわわわっ…大変な事になってしまいましたぁ」


「取り敢えずノア様に一報を入れましょう。きっと、何とかしてくれる筈です」


テンパり始めたシェリーを宥めるようにレザノフが言葉を挟む。


「うん。それじゃあノアによろしく伝えて……いや、彼なら大丈夫でしょう。伝言はやめておきます」


ザックが安心した表情で、レザノフと言葉を交わし踵を返す。


「ノアやエルヴィスに同情だけはしないであげて欲しい。彼らはもう彼ら自身で答えが出せる程、強くなっている筈ですから」


「ザック様、お話して頂いてありがとうございました。またお会い出来る時を楽しみにしています」


シェリーが深々と頭を下げると、ニッコリと笑ったザックはそのまま建物の中へと消えていった。


「じゃあ、俺も行くわ。自ら大変な方に向かう赤髪のマゾ野郎の事頼むわ」


「テメェ…色黒グラサンのくせに言いたい放題言いやがって…」


シェリー達を一瞥すると、ロードの肩をポンと叩いてブラッドは大きな欠伸をしながらその場を離れていった。


「ロード様ッ…また一緒にいられますねッ!」


イライラしていたロードは、屈託のないシェリーの笑顔に顔を赤らめる。


「え?あっ、ああ…そうだな」


シェリーから手を差し伸べられ、その手を握って立ち上がると、「よしっ」と意気込んだロードは何故か歩き始める。


「じゃあ行こうぜッ!水の街アリアなんちゃらにッ!」


「あ!ロード様ッ…水の街アリアアクアは…真逆の方角ですッ!」


普通に笑顔でツッコまれたロードは、羞恥の笑顔を見せながら、しれっと方角を変えた。


森の街フォレストールでザックの言葉で綴られた対立するノアとエルヴィスの過去の真実ー。

親友同士の力の覚醒とエルヴィスの記憶の残滓が引き金となり奏でられた反乱と革命の序曲プロローグ

力を求めてブラッドとの修行を経て、赤髪の流浪人もまた、新たな扉をノックしようと武を磨く。

更に姫暗殺を目的とした死蜘蛛狂天幹部との死闘で護衛隊隊長の真の力も目の当たりにした。

森の街の出来事もこれにて終幕ー。

いざ、バルモアの商船を迎える為、暗雲立ち込める水の街へー。

流浪人達は進んで行くー。

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