RISING

鳳 鷹弥

光と闇の因果関係

「閃光のギフトってのァな…王たる器の持ち主にしか顕現されないと言われる希少なギフトでな…」


ブラッドが引き継ぐ様に口を開くが、二人はまだこの力が目覚めた事による重大さに気づけずにいた。


「この長い歴史を持つ世界で革命を起こしたり、国を統治したりと大きな事を成し遂げる者の多くに、この力を手にしていたという共通点があるんですよ」


「王たる器…大きな事を成し遂げる者の共通点…はわわっ…私とんでもない力を…」


シェリーが事の重大さに気づくも、ロードは未だに首を傾げていた。


「ギフトってのは、希少なもんもあるんだなあ」


何とか話に追いついて来たロードが声を挙げると、ブラッドが返答する。


「十種のギフトの内、光と闇の力。閃光のギフトと暗黒のギフト…この両方は同じ意味合いを孕んでる。しかも、戦争には大体両軍にこの力に目覚めた者がいたりする…」


「ですが、初めて見ましたね。閃光のギフトの輝きを」


ザックが関心していると、ブラッドが冷や汗をかきながら険しい表情を浮かべる。


「ああ。俺もだ。だが、暗黒のギフトの授与者はこの国に一人だけいるのを知ってる…」


「誰です、それは…?」


レザノフが驚いた表情を浮かべて、ブラッドに問い掛けると、少しだけ間をとってブラッドが口を開く。


「国王直下帝国軍元帥…ロスト・ヘルダークだ…」


「やはり、こうも役者が揃ってしまうと歴史の流れから見て戦争になってしまうのでしょうか…?」


ザックが不安そうな表情を浮かべると、シェリーが俯いて口を開く。


「戦争は、怖いです。人が死ぬのなんて見たくないですわ…」


淀んだ空気の中で、ロードがポンとシェリーの肩を叩く。


「大丈夫。根拠は無ェけど、俺が必ず守るから。シェリーのこと…」


「ロード様…」


素っ頓狂と言えば素っ頓狂な台詞を述べたロードだったが、何故か周りを笑顔にしていく。


「そうやって何か歴史が動くんなら、俺の求める答えもその先にあるかもしんねェ。シェリーが逃げないんなら…俺も逃げない」


正対して向き合った二人を見て、ブラッドがニヤリと笑って手拍子を打つ。


「……あ。キース、キース」


「出来るかッ!てか、中学生かアンタッ!!!」


顔を真っ赤にして、指を指して突っ込んだロードと俯いて顔を赤らめたシェリーを見てドッと笑いが起きる。


やっぱり…ウブは面白ェ…。


ブラッドはしてやったりの表情でニヤリと笑って見せた。

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