RISING

鳳 鷹弥

死蜘蛛狂天 三羽烏 リゼア・ゴードトプス

「つまらぬ戦いなら、某には無用。締めさせて頂こうか」


表情を変えずに言い放ったリゼアは、ギフトの覚醒を発動し、姿を変えて行く。

頭から額に掛けた位置に二本の黄色の角が生え、トリケラトプスの襟飾りの様な部位が両肩に充てがわれる。

両膝から脛に掛けて、黄色のレッグガード、そして戦斧が二本となり両腕に持たれている。


「震脈のギフト“猛破壊角ラベージホーン”」


周囲を気圧すような出で立ちと威圧感にも乱れる事なく、レザノフは銃を構える。


「隠密傭兵死蜘蛛狂天の三羽烏。蜘蛛や烏とはかけ離れた覚醒ですな」


「蜘蛛や烏は組織の象徴である。某個人には何の関係も無い。某が“角竜かくりゅう”と呼ばれる所以をとくと思い知って頂こうか」


リゼアはそう述べると、地面を割るかの如く荒々しく二本の戦斧を低く構えて、レザノフに突進する。

レザノフはそれを見ると、空中に回避し、避けながら身体を捻ってリゼアに向けてギフトを纏った銃弾を、何発も連弾で放つ。

だが、リゼアの両肩の鎧と戦斧がそれを全て撃ち落としてしまう。


「つまらぬ戦いなら無用と、申しているのである。レザノフ・スタールマン」


振り切った戦斧から黄色の砂嵐が巻き起こり、空中のレザノフを急襲する。

それに巻き込まれたレザノフは全身に、礫を受け、負傷を負いながら地面に落下し、激突する。


「…ぐっ…中々やりますね。やはり」


何とか身体にギフトを纏い、硬化してダメージを減らしたものの、ギフトの解放のみでは覚醒段階との力の差は丸分かりであった。


その姿を二階の窓のカーテンに隠れて見ていたシェリーは、恐怖で身体を震わせる。


狙われるのはわかっていました…


ですが、私が死んでも…


国への帰還となっても…


ノア様の足枷となるだなんて…


私は本当に此処に来て良かったのでしょうか…


後悔に近い気持ちに打ちひしがれる様に身体を震わせるシェリーにとっては、それでも身体を張って姫の為に戦うレザノフの姿が余計に辛いものになってしまっていた。


「貴公も、姫など見捨てて国に帰れば、こんな戦いに巻き込まれる事など無いのである」


片膝を着くレザノフに向けて放たれた言葉にレザノフは多少眉間に皺を寄せ立ち上がると、口を開く。


「到底、思い至る感覚ではありませぬな。我がスタールマン家は、代々ノスタルジアに仕えて来た由緒正しき執事侍女家庭。役割も忘れ己が生き永らえようとは、先祖への冒瀆でしょう」

コメント

  • 鳳 鷹弥

    早速ありがとうございます!
    こちらも楽しませて頂きますね!

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  • 桜花 時雨

    私の作品を読んで頂きありがとうございます!

    これから読ませて頂きます!話数もとても多いいので楽しませて頂きます!

    お互い頑張りましょう!

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