RISING

鳳 鷹弥

唯一人の剣士として

「へェ…ただ纏う事は出来るみてェだな」


ブラッドは流水のギフトの波濤によって十手を振り下ろす腕を加速させ、ロードの刀を弾く。


「ぐっ…」


ロードは完全に押し負けると、そのまま弾き飛ばされ、木の幹に全身を打ち付け吐血する。


「ぐはっ…ニャロ…」


「お前は、ギフトの解放以前はアドラスとも互角以上に渡り合うくらいに波動の力は研ぎ澄まされた状態だった」


ゆるりと近寄ってきたブラッドの言葉に、血で染まる口を袖で拭いながら耳を傾ける。


「だが、ウィルフィンとの戦闘でギフトの力の凄まじさは体験してから、それをどう使いこなすかに感覚が行き過ぎてんだ」


ロードはふらりとしながら立ち上がると、ブラッドに向けて鋒を向け構える。


「どんなに凄ェ力を得ても身体がそれに耐えられなきゃ宝の持ち腐れ…即ち戦士としてお前自身が強く在る必要があるんだ、わかるか?」


「確かに…ちょっと忘れかけてたかもなあ。俺は業火のギフトの授与者である以前に1人の剣士だって事をな…」


ニヤリと笑ったロードは、ブラッドに向けて地面を蹴り、間合いを詰め真横に刀を振り切る。

が、その刀に手応えは無くブラッドは瞬時にその場から姿を消していた。


「チッ…!」


ロードの舌打ちと共に空中から突如現れたブラッドは、ロードの刀を足場に前に跳躍するとそのままロードの顎めがけて飛び膝蹴りを決める。

ロードはまた呻きと共に、後ろに蹴り飛ばされ砂地の地面に、背中から身体を打ち付ける。


「当人の体術、武術、そして膂力の全てがギフトに認められた時、限界突破とも言える覚醒の域に踏み込める…」


ロードはまた何とか身体を起こすと、ブラッドに睨みを利かす。


「今みたいにギフトを解放しながら、本来の戦い方に磨きをかけろ。それが覚醒への一本道だ」


ロードは両足に炎を纏い、炎を射出して急加速すると、ブラッドに向けて飛ぶ。


「U・J…ありがとよ…!」


ロードの上段から振り下ろした刀が十手によって完全に受け止められるとロードは呆れたようにニヤリと笑う。


ニャロ…本当に強いじゃねェか…


最初はただの超テキトー野郎だと


思ってたわ…悪かった…!


ロードは更に刀身に炎を纏うと、そのまま十手を押し込もうと刀に力を込める。


「姿勢は悪く無いぜ…?後は…うん。頑張るしか無ェんだわ…」


流水のギフトの、逆流によってまたもロードは簡単に弾き飛ばされてしまった。

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