RISING

鳳 鷹弥

革命家失脚の推測話

「利用…?」


シェリーは、サーガの言葉に息を呑む。


「あくまで推測っス。ただ、あの状況からシェリー姫を守ろうとしたのには何か裏があると見て可笑しくは無いんじゃないっスか?」


サーガが淡々と話すにつれて、シェリーの顔色が悪くなり、俯きがちになる。


「それって…私のせいでノア様に枷を付けてしまうという事ですか…?」


シェリーは振り絞る様に、声を掠れさせながらも口を開く。


「推測と言ってるだろ?そんな気に病みなさんな…」


ブラッドがなだめる様に声を出すが、シェリーの顔色は一向に青ざめたままで、ロードとレザノフが心配そうに見つめている。


「まあもうこの歯車は戻る事はないっスよ…例え姫が国に帰ろうとしてもっス」


「どうして…ですか…?」


「革命家ノアは、他国と交流を持った犯罪者という扱いっス。本来ならそこで既に処断と下してる筈。下しきれないのは…彼の市民からの支持が影響してるのは言ったっスよね?」


「はい…」


「革命を旗として姫を呼んだ男が、理由はどうあれ公使を失ったとなれば過去に少なからずいた革命家気取りと同じだったと呆れの的になるだけ…ってことか…?」


サーガとシェリーの会話にふと、ブラッドが言葉を挟む。


「まあ、そういう事っス。支持を失えば後は処断を下すだけ。そうなれば、政府の信用は現状維持でマイナスは無いっていう…推測っスよ」


あくまで推測だが、サーガの話は筋が通っておりシェリーの不安を煽るばかりだった。

そこでふと、レザノフが立ち上がりシェリーとサーガの間に体を挟み、口を開く。


「推測の話はそこまでにしましょう。我々は、ノア様を信じこれからも鎖国解放の為に動きます。両国の為にもね…」


レザノフはシェリーの肩を叩くと、ザックと目を合わせる。


「姫といえどまだまだ少女。隣の部屋を使ってください。考える時間も必要でしょう?」


ザックが笑顔で、2人を促すとその先導にレザノフと俯いたままのシェリーが続いて行く。

その2人を見送ったサーガが頭を掻くとそれを見たブラッドが声をあげる。


「お前も気に病むなよ?伝えるか伝えないかだったら、必ず伝えた方が良かった仮定だからな…」


「まあそうっスね…」


多少の罪悪感を覚えたサーガだったが、ブラッドの言葉に救われる。

するとブラッドは、ロードに目を合わせる。


「で、お前はどうすんだ?姫を守る為に戦い続けんのか?」



「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く