RISING

鳳 鷹弥

革命と反乱の序曲 ー目醒ー

「どうしたの?2人とも…」


3人が心配そうに見つめる中、アドリーがおもむろに口を開く。


「黙ってろよアドリー。俺はコイツと話してる…」


エルヴィスはノアを睨み付けたまま、アドリーを静止する。


「俺はお前がどう言おうが、国を護る為の組織を立ち上げ、異国を排除する」


「それが本当に国を護る事になるの…?新たな火種を生むだけじゃ…」


「なら、俺を止めてみろよ。もう俺は止まらねェぜ…?」


「なんでそんな急に…」


「思い出したんだよ…俺が姉を失い此処に来た理由を…。俺は…のうのうと生きてちゃ行けない復讐者だったって事をな…」


ザックはその話を聞いて驚きの表情を浮かべる。


「記憶が戻ったのですか…」


不安そうにエルヴィスを見つめるアドリーとティアは拳を握り締める。


「こんな甘ちゃんみたいな生活は俺には訪れちゃ行けなかったんだ…」


「復讐はまた復讐も呼ぶよ…考え直して…エルヴィス…」


「もう止まれないと言った筈だ…。止めてみろ、ともな…」


エルヴィスがゆっくりと踵を返し、空いた扉から庭へと出ていく。


「待って!エルヴィス!」


ノアが駆け出すと共に、アドリーとティア、ザックがそれを追う。


「しつけェな…話は終わりだ。ノア…そこで座って待ってろよ…」


「できないよ!エルヴィスは僕にとっての唯一無二の親友で、僕が憧れた男なんだ」


ノアが初めてエルヴィスに対して大声を張り上げて訴えかける。


「親友が苦しむなら、僕も…。座ってなんて居られるわけない!僕が止めるんだ…優しくて強くて皆んなのリーダー…本当のエルヴィスが戻ってくるように…」


「何も変わって無ェぜ?俺ァ…やるべき事を思い出しただけだ…」


エルヴィスが振り返り、ノアと視線を合わせる。


「エルヴィス…」


「ノア…」


2人の背中から突如、オーラが顕現され渦を巻く。

ノアの背中には銀色のオーラが。


エルヴィスには金色のオーラ、そしてエルヴィスの金色のオーラが稲光を纏い輝く。

対するノアの銀色のオーラが風を纏って行く。


「これは…ギフト…?」


それを見たザックが驚嘆の表情を浮かべる。

エルヴィスの背中の金色のオーラが、稲光を纏い金色の獅子が顔を出し、ノアの銀色のオーラが吠える銀色の狼と姿を成して行く。

睨み合うお互いの視線の背後で金獅子と銀狼の威嚇がその場に圧倒的な威圧感を醸し出した。

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