RISING

鳳 鷹弥

革命と反乱の序曲 ー対立ー

「これ見てよエルヴィス…バルモアって国には…」


雑誌を持って駆け寄るノアのバルモアという言葉に反応したエルヴィスは、ノアの手に持つ雑誌をはたき落とす。


「え…?エルヴィス…?」


鬼の形相となっていたエルヴィスを見て、ノアは言い知れぬ恐怖を覚える。


「ノア…異国に…夷敵なんかに興味を示すな。汚れるだけだ…」


「汚れるって…何言ってるんだよ…エルヴィス…」


「言葉のままさ。特にバルモアは歴史を見てもプレジアに危害を及ぼす危険な国だ…。奴らを潰さなきゃこんな意味の無い戦争もおわらねぇ…」


エルヴィスはノアに向き直り、眉間に皺を寄せながら言葉を紡ぐ。


「そんなの…戦争をしている時点で非は両国にあるよ。プレジアにだって見返さなきゃいけない点が多いんじゃないの?」


ノアが恐る恐る紡ぐ言葉に、苛立ちを募らせるエルヴィス。


「甘いんだよ。そんな考えが蔓延り、相手を理解しようなんて甘さがあるから、戦争はグダグダ続いてるんだ」


エルヴィスの言葉に、更に怒気がこもりノアが後ずさる。


「この施設は15になれば出て行く事が出来る。俺は決めた…待ってるだけじゃ埒が開かない…この戦争を終わらせる」


「エルヴィス…どうして…」


「ノア…俺と共に来い。お前なら俺を支える参謀になれる器だ」


エルヴィスがゆっくりと手を差し伸べると、ノアの元へ手が向かう。

ノアは、その手を無視して、眼を閉じる。


「できないよ…エルヴィス…。ただ潰せば終わるなんてそんな結末じゃ同じ歴史を繰り返すだけだよ」


ノアの言葉にエルヴィスは、ゆっくりと手を納め、ノアを睨み付ける。


「なら…お前にはこの戦争を納める妙案でもあるってのか…?口だけならどいてろよ?邪魔だ…」


「妙案とまでは行かないけど…この戦争の歴史を紐解いていくと…鎖国が良い方に向いていないのはわかる…だからこそ壊さなきゃ行けないのはバルモアじゃなくて…この国を縛るその法案だよ」


「その鎖国を崩壊させれば、それこそ夷敵の侵入を許すだろうが…。この国は蝕まれて堕とされる…わからねぇのか?」


たじろぎながら何とか言葉を返すノアと、力強く言葉を紡ぐエルヴィスは対極を描くが、話は平行線を辿る。


「夷敵って言葉は差別の証だよ…同じ人間じゃないか…話せばわかるよ…絶対に…」


「分かり合えるならそもそも鎖国なんて、法案は生まれて無ェんだよッ!!」


突如、怒気が先走り怒鳴り散らすエルヴィスの声が轟き、アドリーとティア、そしてザックが駆け付ける。

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