RISING

鳳 鷹弥

帝国軍少将 オーズ・サーヴェント

「ポリ公ってのァ…ヒック…あっしのことかい?兄ちゃん…」


不意に放たれたその言葉に、ロードとガルダは振り返る。


「帝国軍…」


ロードはその男の紫の団服を見て、直ぐにその男が、帝国軍だと理解する。


「怖いねェ…ヒック…そんなにメンチ切られちゃあ…その喧嘩…買うしかァ無いのかい…?」


国王直下帝国軍 少将
オーズ・サーヴェント
36歳 185cm 88kg

黒髪オールバックで、脇は刈り上げ、ツーブロックヘア、襟足は背中まで伸びていてゴムで縛ってある。

両眼の下に青と赤の勾玉のタトゥーが施され、右手には肌色の瓢箪を持っていて中には酒が入っているのが顔の赤さからわかる。

団服の下は紺色のスーツを着ているが、首元が大きく開き、ネクタイも下がっていて気怠い酔っ払いの雰囲気を醸し出す男。



「喧嘩ァ?俺様とやろうってのかァ?」


ガルダが歩を進めてオーズにメンチを切りながら間合いを詰めて行く。


絶対に喧嘩売ったのは…


アンタだと思うがな…


ロードの呆れ顔を他所に、ガルダとオーズの距離が詰まって行くと、ガルダが足を止める。


「俺様は反乱軍切っての暴れん坊。上等切るなら容赦しねぇ…ガルダ・ステンローザ様よ。そこんとこ夜露死苦ゥ!」


ビシッと指先を指して、言葉を言い放ったガルダにロードの視線が飛ぶ。


ああ…それ…


名乗り口上だったのか…


ロードにも自己紹介時点で言っていた台詞は、ガルダの名乗り口上だと理解した。

それを見たオーズは瓢箪の酒を勢いよくグビグビ飲み込み、口を拭うとニヤリと笑う。


「怖いねェ…だけども。容赦しねぇって言われちゃあ…ヒック…やるしか無いのよねェ…」


「上等…来いやァ!?酔っ払い野郎!」


「酒はいいよォ…極楽の気分さァ…」


「オイ。赤いの…。俺様がハクいとこ見せてる間に中の様子、マジで探っとけやァ」


「ん…?あ…ああ…」


ロードはガルダの言葉を聞いて、廃墟に向けて駆け出す。

すると、ガルダは背中にクロスに差していた二本の鉄パイプに手を掛け構える。

オーズもまたそれを見てニヤリと笑うと、背中に差していた鈍器系の武器で先端に6本の棘の付いたメイスを手に取る。


「うおっしゃァ!飛ばして行くんでそこんとこ夜露死苦ゥ!」


「勢いに呑まれることは…しないよォ…呑まれるのは酒だけで充分…ヒック…だしねェ…」


メンチを切るガルダと不敵な笑みを浮かべるオーズ、対照的な2人の交戦が始まろうとしていた。

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