RISING

鳳 鷹弥

流浪人の動揺と運命の目撃情報

「ウィルフィン…お前が其処に苦戦される様じゃ俺が困る。頼むぜ?」


辛辣とも取れる言葉に、ウィルフィンは小さく頷く。

だが、そんな程度で終わる筈がないと。

エルヴィスの信頼から出た言葉というのは、ロードにも伝わっていた。


すると、エルヴィスの元へ密偵が1人、駆けつけ報告を行う。


「エルヴィス様。調査を続けていた例の件・・・に関して案の定、奴等動き始めました」


「遂に来たか…!」


エルヴィスは報告を受け、ニヤリと笑みを浮かべると立ち上がる。


「ウェルコルドの南西。廃墟の砦にて、奴等の幹部、一名が。帝国軍少将…オーズ・サーヴェントと密会。帝国軍は手を出さないでしょうが秘密裏に共同画策となっている模様」


「直ぐにガルダを向かわせろ。徹底抗戦の芽もある。ガルダには兵は惜しまんと伝えてくれ」


慌ただしく動き始める反乱軍の兵達の動向を他所にロードは話の顛末を理解しきれなかった。


「何かあったのか?」


「ん…ああ。15年前に行方不明になっていた政府の大物がこんなとこで目撃されてな。奴が何を握っているのかは解らねェが、政府が此処まで追ってんだ。有益な情報が手に入るかと思ってな…」


「大物…?誰の事だよ…」


ロードは訳も分からず、エルヴィスに問い掛けるとニヤリと笑いその人物を挙げる。


「ランス・テラモーノ…」


ロードはその人物の名に、驚嘆の表情を浮かべる。


「ロード。お前何か知ってんのか?奴の事」


エルヴィスはその反応を見て、不可思議な表情を浮かべてロードを問い詰める。


「…ん。ああ…いや。初めて聞く名だ」


ロードの表情から其れは直ぐに嘘だと丸わかりだろうが、エルヴィスは敢えてスルーして見せる。


ランス…


あんた何者なんだ…


ランスとは、ロードの育ての親。

15年前に行方不明となった頃から2人は共に生活をしていた。

そのランスがロードと別れ、2年。

目撃情報を受け、そのランスの元に帝国軍や反乱軍が蠢いている。

ロードは言い知れぬ不安に襲われていた。


「オイ、ロード。お前もガルダと共に現場へ行って見ちゃあくれねぇか?」


「なっ…俺が…?」


エルヴィスからの不意の単願に驚くロードだったが、其れを不思議がる事よりもランスの名に動揺していたロードは、断りきれず承諾してしまった。


「ガルダには俺から伝えておく。なに、危険が迫ったら無理に戦わずに撤退してくれて構わん。が、今は少しでも戦力が欲しい。力を貸してくれ」


エルヴィスの言葉に頷いたロードは、反乱軍アジトを飛び出して行った。

コメント

  • 鳳 鷹弥

    Leirenさん

    回想で登場のランス、漸く出番ですw

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  • Leiren Storathijs

    ここで親父来たかあぁ……なんだが一気にストーリが動きそうな予感です。

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