RISING

鳳 鷹弥

星涙 vs 凛雨

「その想いは貴女だけじゃない。私にもその覚悟はあるの…星涙せいるいティア・ミルキートライブ…貴女を敵として処すわ…」


その言葉と時を同じくして、ホールの気温が段々と下がっていく。

アドリーのギフトの解放がそれを成していた。

氷臥のギフト。

それがアドリーのギフトであった。


「胸が締め付けられる思いも覚悟に変えて行きますわ。凛雨りんうアドリー・エイテッド…」


きっと“敵として処する”こんな残酷の言葉は、発する側も受け止める側も苦しいのだろう。

2人は、戦い以前に余裕など微塵も無いのだから。


冷え切ったホールで矢を持たずアドリーが弓を構える。

すると、右手から氷の矢が精製され、それをアドリーが放つ。

すると、ティアは槍ではなく右手を差し出しその氷の矢を迎撃する。

差し出された右手に迫った矢は一瞬で溶け、水となった。


「行きますわよ。アドリー…」


その水を槍で薙ぐと、少量の水が大波となってアドリーに迫り来る。


アドリーはホールを跳ねて回り、その大波の上に出ると、またも氷の矢を放つ。


その矢も溶かし、水に変えると十文字槍を構えてティアが前に出る。


ティアのギフトは、流水のギフト。


水流を自在に操り、そして武器の十文字槍も相まって遠距離近距離問わずに戦えるオールラウンダー型だ。


「泣き虫だったティアがこんな戦い方をするなんてね…はあ…私とは真逆。女の子らしくて好きだったのになあ」


アドリーは負けじと、連続で氷の矢を精製し、ティア目掛けて射る。


「真逆でしたわね。アドリーは面倒臭がりでしたのに、どこか勝気で負けず嫌いでアクティブな貴女は私の憧れのままですわ…」


水流となった斬撃が槍を薙ぐと同時に発生し、雨の様に打ち付ける氷の矢を次々と破断していく。


すると、またも起こしたティアの大波を右手を差し出し、氷河の如く凍りづけにすると、その坂を滑り降り、加速してティアに迫る。


弓矢という遠距離型のイメージの強い武器を持ちながら、間合いを詰めるアドリーに驚くティアは呆気に取られる。


「入ってあげたわよ…貴女の槍の射程にね」


「真っ向勝負…という訳ですわね」


顔を強張らせたまま、2人は顔を突き合わせる。

アドリーはスウェイ移動を繰り返しティアの背後を取ると氷の矢を放つ。

だが、反応していたティアは槍を振り切り水壁を精製し防御する。

氷臥と流水、二つのギフトが荒々しくぶつかり合う。

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