RISING
ロジャーズグリフの戦い
はぁ…はぁ…
息を切らしながら赤い髪の青年が、ロジャーズグリフへと近づいてくる。
夕焼けに染まった空と、その男の髪色が合わさる時間にもなり、街の外れには人影は見えない。
そんな中、目の前から久しぶりに見た人影はリュックを背負った親子の様だった。
「あれは…ロニー!ゲイツさん!」
「あれ、ロード兄ちゃん?」
「お?侍の兄ちゃんか」
2人の元に着いたロードは、息を整える様に両膝に手をついて腰を曲げる。
「良かった…無事だったんだな」
安堵の表情を浮かべたロードを見て、2人は疑問を浮かべる。
「無事って、なんかあったのか?兄ちゃん」
「それって帝国軍が居たのと何か関係あるの?」
「帝国軍も来てんのか…?そりゃ大物が集まってんだもんな、兎に角2人とも此処から離れてくれ」
「ロード兄ちゃんは?」
「俺はちょっと此処で用がある、じゃあまたな…!」
ロードは手を挙げると焦った様に2人の元から駆け足で離れて行く。
2人は、心配を浮かべながらその刀の差された背中を見送った。
「合流は出来ていないが、2人もロジャーズグリフには到着した様だ。奴等のアジトを奇襲する。皆、俺に続け…」
静かに陣頭指揮をとったウィルフィンに続き、アドラスの小隊を含めた20人程の兵が革命軍アジトを目指す。
大木の聳え立つ、幹の根元が刳り抜かれ、奥に地下へと続く階段が見える。
「ウィルフィン…通路が狭い。先陣はワシらに任せて他の出入り口を探してもらえんか?」
アジトに向けて走りながら、ウィルフィンの背後でアドラスが提言する。
「自ら危険な方を選ぶか…。アドラス…無理はするなよ?」
「ワシの性格、知っとるじゃろ。スイッチ入ったら無理や」
ニヤリと笑みを浮かべたアドラスが、ウィルフィンを追い抜きアジトの階段を駆け下りて行く。
ウィルフィンは踵を返し、同じ様に入り口の通路建設が可能そうな同じ大きさ以上の大木を探す。
「確かに、出入り口が一つしかない地下のアジトなんて用意する筈はない。最低でも四方にあと3つはある筈だ」
ウィルフィンの姿を背後の木陰から見送る人影があった。
「あそこが、革命軍アジトの出入り口ですね。さあ…僕らも行きましょう」
紫紺の団服を翻し、少将アレスも5人程の小隊を率いてこの死地に食い込む。
三つの団旗が入り乱れる
戦場、風の街ー。
“ロジャーズグリフの戦い”
此処に、開戦ー。
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