RISING

鳳 鷹弥

嵐の前の静けさ

「ウィルフィン…アドリー達も参戦するのか?」


ウィルフィンの背後から、白髭の大男が声をかけてくる。


「ああ…アドリーとギルドが来る。何故だかギルドは既に手負いらしい。俺もアンタも見たことのある赤髪の小僧と喧嘩してな」


ウィルフィンがニヤリと笑みを浮かべて大男に返答した。


「ほう…ロードちゅうたか。あの面白ェ赤髪の侍じゃな」


その白髭の大男、アドラスも同意する様に笑みを浮かべた。


「理由は知らぬが、ここ数日で事件に良く絡んでいるらしいしな。此処にも現れそうだ…あの公使もいるしな…」


「それはそうと、ワシらだけじゃのうて帝国軍の数名が此処に向かってるっちゅう報告をワシんとこの密偵から受けた…噂ではその小隊を率いとんのは、中将っちゅうことらしい」


「それは…厄介だな。出来ることなら交戦は避け…的を射止めたいものだ」


ギュッと刀の鞘を握り締め、決意を込める様にウィルフィンは、言葉を出した。


「じゃがまあ…ノアを仕留める言うなら中将なんぞにかかずらってる場合やないんやがな…」


アドラスもノアの脅威を語りながら、眉間に皺を寄せる。


「取り敢えず、アドリー達の合流を機に奴等と相見える…。帝国軍は後回しだ。革命軍を優先する…」


「おう…」


静かに返事をしたアドラスと指示を出したウィルフィンは革命軍のアジト側へと睨みを効かせた。









そして、風の街の外れ、ロジャーズグリフへと展開を始めた反乱軍とは別位置に展開を始めようとしていた紫の団服の一団があった。


「戦火が上がったら御構い無しだ。反乱軍も革命軍も縄に掛けて終わりにしよう。汗かくのは御免だしね」


紫の団服の一団の先頭に陣取った緑色の癖毛髪の男が後ろの兵に、声を掛ける。


その男は将官クラスのみが着用する羽織を着用していた。


すると、その男は金槌がテンポよく振られる音を耳にしてその方向に目をやる。


「精が出ますね。ですが、この場所この後多少厄介な事になりそうです…今日はこのくらいにして避難をオススメしますよ」


その男の視界には、風車を修理に来ていたゲイツとロニーの姿があった。


「なんじゃあ?ゾロゾロと帝国軍の皆様が…もう少しで修理完了なんじゃがなあ」


ゲイツが罰が悪そうに頭を掻くのを見て、申し訳無さそうに会釈をする。


「父さん…今日は帰ろう。だってこの人、帝国軍の少将さんだよ?」


ロニーがゲイツのズボンを引っ張って帰る様に説得を始めた。


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