RISING

鳳 鷹弥

消え失せる事無き侍の魂

「そんな中、反乱軍の総長エルヴィスから勧誘を受けてな。奴は本物だ。“金獅子”の異名通りの本物の侍だった」


再度煙管を、吹かし煙を吐いたギルドはロードの方に目をやる。


「護国師団反乱軍は、何かを護る為に戦う集団だと言われたよ。だから俺ァ…この国の文化の中の一つ…刀を護る為に反乱軍に身を置いたのさ」


ギルドの話を聞き終えると、同時にロードは息を吐く。


「確かに革命軍のアレンって奴は、剣だったよな。でもな、ギルド。どんな新しい武器がこの国に流れ込んで時代が変わっても刀が廃れ行く事なんてねぇよ」


ロードの言葉に、ギルドが目を丸くし問いかける。


「何故、言い切れる?」


「刀ってのはよ…侍の魂が乗り移り…侍が死線を潜り抜けるのに力を貸してくれる相棒さ…」


ロードがニヤリと笑ってギルドに鋒を向けるように中段に構える。


「刀の文化が仮に終わるときが来るのなら、他国の文化が流れ込んだ時じゃねぇ。侍の魂が消え失せた時さ…だから言い切れる。侍の魂は、俺らがいる限り消え失せねぇ…」


ギルドもニヤリと笑い、太刀を構えロードに目を向ける。


「問題ねぇ…死ぬはずがねぇさ…侍の相棒かたなも…侍の魂もなァ!!」


「良くぞ言ったァ!若き侍よッ!!!」


二人から強烈なギフトのオーラが放たれ、二人が地面を蹴り、鍔迫り合いの状態になると二人のギフトのオーラが渦を巻いて天に昇るーーーー。







それを隣道で見上げた女性がいた。


「ギフト同士の衝突…それにあの声…面倒起こしてくれるわホント…」


ため息まじりにその女性は、渦を巻いたその場所を目指すように、正面に相対する。

そして、林道の狭間に岩場を見つけると、身軽に手前の岩に飛び移る。



「面倒だけど、止めに行かなきゃ。の為にもね」



その女性は、岩場をピョンピョンと飛び移るように、渦巻く方向へ歩を進めた。


空色の髪を纏めたポニーテールと、黒いミニスカートが風に揺れるーー。









ロードとギルドは、仰向けに地面に伏していた。


だが、二人の表情は晴れやかな笑顔を含んでいた。


「ふんっ…お前みたいな若い侍がいりゃあ、お前の言ったことも強ち間違っちゃいねぇのかもな…」


「オイ…冗談で言ってねぇぞ。俺は…」


二人は傷だらけの身体を忘れ、空に向けて高らかに笑っていた。

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