RISING

鳳 鷹弥

侍の愛した刀

木の幹の根元で、吐血したギルドは口元の血を拭うと、太刀を地面に刺しそれを起点に立ち上がる。


「強ェな…お前…」


ギルドはニヤリと笑いながら、地面に刺した太刀に向けてギフトを込める。

すると、地面がロードに向けて亀裂を生み、地盤が尖りながら波の様に減り上がる。


「ヤベェ…」


ロードはまた宙に舞い上がるも、狙っていたかの様に、ギルドが太刀を引き抜き、空中に飛び上がりロードの真上から太刀を振り下ろす。


「おらァ!!」


「チッ…」


何とか刀でガードするも、真下の地面に叩きつけられ、吐血する。


それを追撃に、ギルドが空中から迫ると、ロードはまた鋒を向け炎を射出する。


ギルドはまた太刀で、炎を斬り散らすと、ロードとは離れた場所に着地する。


その時には既にロードは片膝立ちの状態で体勢を戻しつつあった。


「強ェのはアンタだよ。コノヤロウ…」


ロードは戦いの最中だと言うのに、何やら楽しげに笑みを浮かべる。


そう、この戦いを愉しんでいるような。


「お互い様だ。お前ェ一体何なんだ?」


「やっと俺の相棒以外に興味持ちやがったな。俺は、ロード…流浪人さ…」


「流浪人…?未所属にまだこんな強ェ奴がいたとはな…」


二人はゆらりと歩み寄りながら問答を交わすと、ロードはノアのあの言葉を思い出す。


『反乱軍は俺達とは間逆…異国民によって運命を捻じ曲げられた者達さ…』



「話のついでだ、聞かせてくれ。アンタが反乱軍に身を置く理由は何だ?異国民に何の恨みがある?」


「あァ?白ける話だなァ…俺は夷敵に恨みはねぇよ…」


ロードにとっては、意外だったのかその場で硬直する。


「じゃあ何で反乱軍にいるんだ…?ギルド…アンタ…」


「まあいきなり襲っちまった手前、其れくらい答えてやるよ。俺はな、変化・・が怖いんだよ」


「変化だと?」


ギルドは懐から煙管を取り出すと、一服宙に大きく煙を吹かす。


「俺ァ、言った通り唯の刀マニアだ。若い頃は色んな流派を学び、刀鍛冶にも手を出した。だが、昔耳にした…海外には刀よりも優秀な武器がいくつも存在すると」


ギルドは空を見上げながら淡々と語り続ける。


「鎖国解放が成って、海外の文化がこのプレジアにも流れ込んだら、俺が…いやこの国で侍として生きてきた過去の偉人達もが愛した刀の文化が廃れて行っちまう気がしてな」


ロードは、ギルドのその言葉をしっかりと受け止めるように黙って聞いていた。

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