RISING

鳳 鷹弥

バルモアの姫君 シェリー・ノスタルジア

「気紛れって…」

少女の言葉に、完全にこの先の言葉を失っていたが、その沈黙を破る様にある音が馬車の中を包む。

そう、ロードの腹の音だった。

クスッと笑った少女は、軽く腰を上げ、ぺたりと座り込んだロードにちょっと上から笑みを浮かべて口を開く。


「公使館に一緒にいらっしゃいませんか?これからお昼なんです」


満面の笑みを浮かべるシェリーの表情にロードは、気圧されたかの如く、何も言えずに俯いて頷くだけだった。








光の街セイントピアの外れ野原に、一軒だけ場違いの様に建てられた白い壁の洋館に着くと、馬車が止まる。


扉を開けて降りようとする少女の為だけの簡易階段を護衛隊が直ぐ様設置し、1人が右手を添えさせてエスコートしていた。


ロードも降り立つと、庭には七色とも言える多種類の花が咲く花壇が両横に並んだ通りを通って少女の後ろをくっ付いて入り口に向かう。


なんだこれ…?


マジで、金持ちの家じゃん…


三階建ての白いお城の様な、公使館を見上げる。


そして扉が開くと、ロードも少女に呼ばれて付いて行った。


半螺旋状の階段を上がると、目の前の大きなリビングルームに扉を開けて入って行った。


中央に置かれた白いテーブルクロスの敷かれた長方形型の、テーブルの奥に少女が腰掛けると、護衛隊に導かれ真逆の一番遠い位置の角に座らされる。


「おーい!えっと…名前…」


「はいっ!私、シェリーと申します!」


ロードは思った。


金持ちはわざわざ食事するのにこんなに声を張らなきゃいけないのかと。

このテーブル、ざっと20人は座れるものであり、両端から話すのはけっこう疲れるものらしい。


「シェリーか。シェリー!もう少し近くで食わねぇか?」


「クスッ…そうですね」

近くかつ、対面で座り直すと、シェリーが改めて口を開く。


「改めまして、私“バルモア”という国からこの国に来ていますシェリーと申します。よろしくお願いしますね、お侍様」


バルモア国 王族ノスタルジア家姫君
シェリー・ノスタルジア

150cm 43kg 18歳

ハーフアップのピンク色のロングヘアに、アスタリスク型のピアス。

白とピンク基調のスカートの長い、ドレスを着用していて、純白の手袋を付けている。

特徴的なのは薄いピンク色の瞳で、何かとピンクが目立つ格好をしている。


「俺はロード。なんかいいとこのお嬢様だと思ってたけど本物とはな。驚いたよ」



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