RISING

鳳 鷹弥

三つ巴の軍旗の思惑

「先に断っておくが、帝国軍の将校クラスがみんな俺みたいなアホの変わり種じゃねぇ…」


「自覚はあったのか…」


ロードの呆れ顔も一瞥したのみで、話を続ける。


「帝国軍、反乱軍、革命軍と軍旗が乱立して早5年は立っているが、反乱軍と革命軍の目的は確かだ」



革命軍とは、他国との交流を絶ったプレジアの未来を案じて鎖国崩壊、そして他国文化を取り入れ、この国のさらなる発展を願うと言った思想を描いている。


対して反乱軍は、その革命軍の意思を異と唱え、プレジア本来の文化や伝統を護るという思想を掲げて、護国師団反乱軍と名乗った。


二つの軍旗は思惑は違えど、この国の未来の栄光を祈り、戦火に身を投じている。


つまり、やり方、ルート、未来の先は違くとも、プレジアという国の未来を憂いた軍団であることは、相違ないはずだ。


「だが、帝国軍は力に溺れた」


帝国軍は元々、国王直下帝国軍と名乗り国王一派の守護に当たってきた誉れ高い軍団である。


だが、10年程前、国王の右腕とも今は呼ばれている宰相という立場のペティットという男が軍を裏で指揮するようになって帝国軍は大きく姿を変えた。


生い立ち、実績などを無視し力ある者にランクを与える実力主義の登用方ーー。


「俺も実際、そのおかげで少将にまで格上げされた。ーーだが、昔の功労者達は当たり前の様に年を召して、全盛期の立ち振る舞いが出来なくなっていた所を、ペティットは容赦なく斬り捨てていった」


「つまり、思想や価値観は違ったとしても、力や才さえあれば上に行ける組織になったと」


サバネが理解した様に頷きながらブラッドの話に耳を傾けていく。


「ああ、だが力だけで言えば今の将校クラスは歴代最強とも呼ばれてる…。だがそこに統一の意思はねぇ。だから俺は反乱軍も革命軍も逮捕しねぇんだ。心のどっかでこいつらの方が国を想ってるって思っちまってる今の俺じゃ…逮捕…できねぇんだ…」


お猪口のお酒を飲み干すと、ブラッドは深いため息をつく。


「だから、力に溺れた軍団だと…」


一通りのブラッドの話が終わり、また沈黙が場を包む。


すると、一向に口を開くことのなかったロードが、俯き様に心の中で呟く。



ーー話が…難しくて…わからん…!


真面目な顔をして聞いていた様に見えていたが、ロードに2人の会話は難易度が高かった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品