RISING
もう1人の乱入者
「お前はほんとにつかみ所の無い男じゃが…ワシは二発も食ろうておるしな。簡単に引くことはできんのう」
反乱軍の隊士たちも、見守る中、アドラスはもう一度と言わんばかりに踏み込み、斧を振り下ろす。
間合いはかなり空いていたはずだったものの、その長身と斧のリーチはその距離を簡単に超えるものだった。
「危ねぇ…!」
前へとスウェイ移動をかけて、斧の攻撃を防ぐものの待っていたのは、アドラスの余り手での正拳だった。
咄嗟に腕でガードしに掛かるが、あっさりとそのガードを圧砕し、ロードを吹き飛ばす。
「ちっ…かなり手抜いてやがったな…」
鈍重にも映っていた目の前の巨漢の見事な攻撃に、感嘆しながらも、体勢を立て直し、もう一度間合いを詰めていく。
「ワシもなァ…護国師団反乱軍で…幹部を務める男なんでのう…そう簡単に部下達の前で醜態晒すわけにゃいかんのんじゃ!!ボケがァ!!」
雄叫びと共に、アドラスも踏み込み、ロードとの正面衝突へと相見ようとする。
ーーが、その刹那ーー。
その衝突は、1人の男の言葉によって遮られる。
「オイよぉ…お前らァ…なぁにやってんの…。こんな所で昼間っからドンパチドンパチ…」
その言葉に反応した、2人は揃って動きを止めて声の方に首を向ける。
「お前は…」
「誰だ…?」
その顔に見覚えのあったアドラスと全く知らんと眉間にシワを寄せたロードによって、反応の差はあったが、また興奮気味にサバネがメモを開く。
「あ…あれは…国王直下帝国軍少将 U・J・ブラッド…」
国王直下帝国軍少将
U・J・ブラッド
(ユーリ・ジャクソン・ブラッド)
32歳 180cm 75kg
色黒の身体に、真っ黒なサングラス、髪もコーンロウに纏めた異色さ漂う男。
紫紺の帝国軍羽織を着用しているが、中は派手な黄色の柄シャツで、胸元もガッツリ開いている。
「お前は…いると便利だな…サバネ…」
苦笑いを浮かべながら、目の前に現れた男の説明を聞いたロードは感嘆を浮かべる。
「お前らァ…って。お前は。アド…なんだっけ。……アドレス……さん?」
「アドラスじゃ。相変わらず腑抜けた奴やのう。U・J…」
呆れた表情を浮かべるアドラスに対して、ブラッドは、また口を開く。
「……で。お前らなにしてんの……?」
場がゆっくりと白けていくのがわかった。
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