RISING

鳳 鷹弥

流浪人の戦闘スタイル

冷たい笑みに気圧されるように、ロードは、一歩引いて刀を構えるが、ふっと息を吐くと眼に再び力を込める。



「ふん…動揺したのも一瞬か。小童よ、なかなかに強者なのかもしれんのう…」



「そんなもん…一度交えて見りゃあわかると思うぜ…?」



「なんや、やる気満々じゃのう。そんなら軽く捻り潰してみるかのう」


「やる気満々なのは、アンタだと思うぜ?…あと捻り潰せるもんならやってみろよ…?」


斧を振り上げるアドラスに向かって、ロードは先手必勝とばかりに態勢を低くして、間合いを詰める。


「ほう…早いのう…」


詰めた間合いから一気に、下段の斬りあげを見せ、アドラスの腹部を狙う。


ーーが、斧の側面部によって軽々とその一撃ガードされ、そのまま押し潰すように、アドラスは、斧を振り下ろす。


ロードは、一瞬の判断から刀を滑らせ、身体を回転させて回避すると、地面を蹴り、宙を舞う。


「もらった…」


上段からの振り下ろしを見せるが、アドラスは身体を曲げ、ロードの刀の鍔を掴むと、雄叫びと共に、投げ飛ばす。


ロードは空中で身体を回転させて、受け身を取ると、顔を上げ、アドラスを睨みつける。


その様子を見ていたサバネは、唖然とした表情で、ボソッと呟く。


「一体…彼は何者なんだ…?反乱軍幹部と対等に渡り合ってる…」


すると、サバネの言葉にアドラスが反応する。


「対等…じゃないのう…。この二撃のぶつかり合いの最中で二発、くれよったわ…小童めが…」


一撃目の回避時に、刀の柄でボディブロー。二撃目は掠り気味ではあったものの、回し蹴りを肩に決めた。


「体格の差はあるけどよ…俺の戦闘は…いつもこんなもんだぜ?反乱軍幹部さんよ…」


ニヤリと笑みを浮かべるロードに対して、アドラスは問うた。


「ほんまに何者なんじゃ?お前は…」


「へっ…小童からお前に昇格したなあ…」


「そんなことはどうでもええんじゃ。何者かと問うておる」


多少の間を空けて、ロードは考え気味に首をひねる。


「流浪人…?」


「なぜ疑問形なんじゃ?」


「そう呼ばれてるだけで。俺が何者かなんて俺にもわかんねーし…」


「ガハハ…!本当に行き当たりばったりの乱入に戦闘じゃったという訳か…こんなアホな小童は、見たことないのう。」


また豪快に笑い飛ばすアドラスを見て、またロードは苦笑いと共に肩の力を抜く。

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