吸血姫は復讐をして成り上がる
吸血姫は復讐をして成り上がる
約三百年前、吸血鬼が人間と世界を半々にして過ごしていた時代があった。それから百年余りの時が経ち、人間達は私達、吸血鬼族から領土を奪う為に進軍をしてきた。人間に追われ殺される吸血鬼、恋人を目の前で犯され、殺されて狂う吸血鬼の男と女。
そんな光景を見ながら私--リーシア=アルジェス=エメラス(8歳)は両親、父--ラシス王、母--サリア王妃の家族3人は一緒に『終の崖』へと数十人にも及ぶ人間達に全身傷だらけの状態で追い詰められていた。
ラシス王とサリア王妃は私達家族を守る為に数百人もの人間を手にかけたが体力の消耗が激しく動きが鈍ったところを集中的に狙われ、擦り傷も増えれば重症になっていく。そして遂にラシス王が地面に顔をつけることになった。
「リーシア、お前だけ..は...い...き....ろ...そして...吸血....鬼の...時....代....を」
私は我も忘れて、おとうさま!おとうさま!と大声で叫び散らした。
「おとうさま!!死んではダメです!わたしはまだ、おとうさまとおかあさまと一緒にわらってくらしていたいのです!!」
だが、私の願いは届かず徐々にラシス王の体からは体温が失われていく。そして、最後の力を振り絞って私の頬に手を当てながらラシス王は呟いた。
「リ..ィ..シ....ア...ご...め..ん...な....」
ラシス王は涙を流しながら慈しむ様に私の頬を撫でる。そして、私の頬からずり落ちる手...
「おとうさま?おきてください....おとうさま...おとうさまぁぁぁーー!」
「いやだ...こんなのって....いやだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「あなた...リーシア!リーシア!!」
私の絶叫が響く中、サリア王妃が私の名前を呼びながら抱くが私は叫び続ける。その中に、人間達は無遠慮にも私達に近づきサリア王妃を私から引き剥がす。
そして一言を落とす。
「おい、吸血鬼のガキはこの崖から捨てろ!この女は捕虜にする!」
その言葉に我に帰った私は複数の人間相手に怒鳴る。
「わたしからおかあさまも奪うのか、きさまらは!」
「あぁ?ガキは、黙ってろ!!」
人間の1人がサリア王妃を組み伏せる。サリア王妃も抵抗するが、元から受けていた傷と数の暴力には敵わなかった為、地面に組み伏せられてしまう。
「おかあさま!きさまら、おかあさまをはなせ!!」
「ごちゃごちゃうるせぇんだよ、ガキが!!」
「ぐっがはっっ」
体格の良い男に私はお腹を蹴られて胃液を飛び散らしながら吹き飛ばされる。その先には『終の崖』があった。
「リーシ...ア...リーシア....」
おかあさまの声が微かに聞こえてくる。それと比例して崖に落ちていくわたし。
どうしてこうなった、なんでこうなった、誰がやった、どうしてそうなった、どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして...
あぁ、そっか、わたしが弱いから奪われた、同族が殺された、踏みにじられた、穢された、貶された。そして---大切な家族も守れなかった...
それなら、絶対に強くなろう。何をしても、騙しても、殺しても、奪っても何もかも犠牲にしてでも強くなってやる。
だから、
「待っていろ、人間共...絶対に皆殺しにしてやる...必ず....生きてきた事を後悔させて殺してやる...」
そしてわたしは『終の崖』の底へと落ちていく。
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