天空の妖界
雪女の調べ事(陸)
「到着~」
「……風が……」
危なげもなく、キララちゃんは綱渡りを終えて江相山にたどり着くと、まるでそれを合図にするかのように風がピタリと止みました。
「まず第一関門クリアという感じかしらね。という事はここから進むための何かをまた見つけなければいけないみたいだけど……今度は風も吹雪も無いから見渡しがいいわね……綱は無いけど」
「それに、夏に差し掛かった春みたいにすごい温かくて凄い助かるよ。ここでまた真君の生まれた潮ヶ江へのヒントを探すんだね。まかせて」
「お~雪撫ちゃんやる気満々~」
腕をまくって気合を入れた私ですが、地面に綱はなく、あるのは花が数本周りに咲いている程度です。先ほどは下だったからと空を見上げても何もありません。
「地図を見る限りだと近くにある目ぼしいものは数キロ先にある濃乱草の森っていうところかさっきの鳥葬山しかないわね……。全くメモしておいた船や港の名前も無駄になりそうだわ」
「その濃乱草の森っていうのはどこの方角にあるの?」
「ちょうど鳥葬山と逆の方角ね。とはいっても、どこにも先に進めそうな道はないけれど……」
指さされた方角を見ても確かに何も見当たりません。近くに咲いている花に何か仕掛けがあるわけでもなく、二人で頭を抱えました。……え? 二人?
「ちょ、ちょっと文、キララちゃんどこ?」
「え? あ……」
いつの間にか姿が見えなくなったキララちゃんに思わず二人で顔を見合わせます。
「キララちゃん! どこ!?」
「雪撫ちゃんこっちこっち~」
足元の方から聞こえる声に思わず下を向きますが、それらしき妖は見つかりません。文にも顔を向けて確認しますが、首を横に振ってしまいました。透明になったのでしょうか?
「雪撫ちゃん、そこにある赤い花に顔近づけて~?」
ん? 花に顔を近づける?
言われた通りに顔を近づけて花を見ていると、
「え? ちょ、ちょっと雪撫?」
驚いた顔をした大きい文がこっちを見ています。……大きい?
「え、え~~!?」
気が付いた時には文の足より小さくなってしまいました。
「ちょっ、何よ雪撫、なにしたの!? ていうかどこ!?」
文の目には小さくなって消えたように見えたのでしょう。その場で私を探そうと細かく動きます。その度に横から後ろから地響きと轟音が鳴り響く恐怖が皆さんには分かるでしょうか……。
「きゃっ! ……ぎゃぁぁぁ! ちょっ! 文、暴れないで暴れないで!!」
脚から必死に逃げていると、ぐいっと私は腕を引っ張られました。
「雪撫ちゃん~、動いた方がこういう時は危険だよ~?」
「キララちゃん! 助かったよ」
今の私にはかなり大きく見える、実際は裁縫針で刺して作ったような穴に二人で逃げ込みました。
「ね、ねぇ二人共どこにいるのよ? 赤い花がどうこうだったわよね……?」
「匂い! 花を近づいてよく見て!」
「花を……? この花に変なところなんて無いわよ?」
赤い花のおかしなところを探そうとじっくり見ている文の体はどんどん小さくなっていきます。
「文、左だよ。こっちこっち」
「……なるほど、周りの風景を見る限り体が縮んでようね。さっきの事もそうだけど、飢々娘々には感心するわね。観察力と……直感力とでもいうのかしら? そういうのが優れている妖怪なのかもしれないわね」
「ん~? まぁいいや~行こ~」
あれ? 今なんかキララちゃんの反応がおかしかったような……?
確認する前に早足でキララちゃんが行ってしまうので、確認する間もなく文と私はついていきました。
「あれ、キララちゃん道分かっているの?」
歩幅が小さくなっているため、未だに花が咲いていた地面を進んでいる私は、迷うことなく進んでいるキララちゃんに疑問を持ちました。
「うん、分かるよ~。なんかね~臭いで分かるんだよね」
振り返ったそのキララちゃんの怪しい笑いはどこかで見た事があるいつもと違う笑顔でした。
「この穴に入るんだよ~」
思い出す前にキララちゃんは指さした穴へと入っていき、
「雪撫、行かないなら先行くわよ?」
文も穴へと消えていったので、考える間もなくついていくしかありませんでした。……確認したいことがいっぱいなのに調べられない。
キララちゃんってこんなアクティブじゃないはずなんだけどな……?
「……風が……」
危なげもなく、キララちゃんは綱渡りを終えて江相山にたどり着くと、まるでそれを合図にするかのように風がピタリと止みました。
「まず第一関門クリアという感じかしらね。という事はここから進むための何かをまた見つけなければいけないみたいだけど……今度は風も吹雪も無いから見渡しがいいわね……綱は無いけど」
「それに、夏に差し掛かった春みたいにすごい温かくて凄い助かるよ。ここでまた真君の生まれた潮ヶ江へのヒントを探すんだね。まかせて」
「お~雪撫ちゃんやる気満々~」
腕をまくって気合を入れた私ですが、地面に綱はなく、あるのは花が数本周りに咲いている程度です。先ほどは下だったからと空を見上げても何もありません。
「地図を見る限りだと近くにある目ぼしいものは数キロ先にある濃乱草の森っていうところかさっきの鳥葬山しかないわね……。全くメモしておいた船や港の名前も無駄になりそうだわ」
「その濃乱草の森っていうのはどこの方角にあるの?」
「ちょうど鳥葬山と逆の方角ね。とはいっても、どこにも先に進めそうな道はないけれど……」
指さされた方角を見ても確かに何も見当たりません。近くに咲いている花に何か仕掛けがあるわけでもなく、二人で頭を抱えました。……え? 二人?
「ちょ、ちょっと文、キララちゃんどこ?」
「え? あ……」
いつの間にか姿が見えなくなったキララちゃんに思わず二人で顔を見合わせます。
「キララちゃん! どこ!?」
「雪撫ちゃんこっちこっち~」
足元の方から聞こえる声に思わず下を向きますが、それらしき妖は見つかりません。文にも顔を向けて確認しますが、首を横に振ってしまいました。透明になったのでしょうか?
「雪撫ちゃん、そこにある赤い花に顔近づけて~?」
ん? 花に顔を近づける?
言われた通りに顔を近づけて花を見ていると、
「え? ちょ、ちょっと雪撫?」
驚いた顔をした大きい文がこっちを見ています。……大きい?
「え、え~~!?」
気が付いた時には文の足より小さくなってしまいました。
「ちょっ、何よ雪撫、なにしたの!? ていうかどこ!?」
文の目には小さくなって消えたように見えたのでしょう。その場で私を探そうと細かく動きます。その度に横から後ろから地響きと轟音が鳴り響く恐怖が皆さんには分かるでしょうか……。
「きゃっ! ……ぎゃぁぁぁ! ちょっ! 文、暴れないで暴れないで!!」
脚から必死に逃げていると、ぐいっと私は腕を引っ張られました。
「雪撫ちゃん~、動いた方がこういう時は危険だよ~?」
「キララちゃん! 助かったよ」
今の私にはかなり大きく見える、実際は裁縫針で刺して作ったような穴に二人で逃げ込みました。
「ね、ねぇ二人共どこにいるのよ? 赤い花がどうこうだったわよね……?」
「匂い! 花を近づいてよく見て!」
「花を……? この花に変なところなんて無いわよ?」
赤い花のおかしなところを探そうとじっくり見ている文の体はどんどん小さくなっていきます。
「文、左だよ。こっちこっち」
「……なるほど、周りの風景を見る限り体が縮んでようね。さっきの事もそうだけど、飢々娘々には感心するわね。観察力と……直感力とでもいうのかしら? そういうのが優れている妖怪なのかもしれないわね」
「ん~? まぁいいや~行こ~」
あれ? 今なんかキララちゃんの反応がおかしかったような……?
確認する前に早足でキララちゃんが行ってしまうので、確認する間もなく文と私はついていきました。
「あれ、キララちゃん道分かっているの?」
歩幅が小さくなっているため、未だに花が咲いていた地面を進んでいる私は、迷うことなく進んでいるキララちゃんに疑問を持ちました。
「うん、分かるよ~。なんかね~臭いで分かるんだよね」
振り返ったそのキララちゃんの怪しい笑いはどこかで見た事があるいつもと違う笑顔でした。
「この穴に入るんだよ~」
思い出す前にキララちゃんは指さした穴へと入っていき、
「雪撫、行かないなら先行くわよ?」
文も穴へと消えていったので、考える間もなくついていくしかありませんでした。……確認したいことがいっぱいなのに調べられない。
キララちゃんってこんなアクティブじゃないはずなんだけどな……?
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