天空の妖界

水乃谷 アゲハ

雪女と復讐者

「ま、真君? あの人たちは……?」
 声の方へ振り返ると、そこには三人の男が立っていた。
「げっ、……あれは<トリプレット>っていうユニオングループの奴らだよ」
 思わず「げっ」とか言ってしまった。
「おいおいおいおい、『っていうユニオングループの奴ら』なんて言い方は少々失礼じゃぁないかい?」
「そうだぜ。俺ら知らない仲じゃないんだしさ。もっと上手に説明してくれよ」
「ってかこいつ、さっき五百とか言ってたぜ。ポイント減ってんじゃんチョーウケル!」
「……」
 面倒くさい奴らに会ってしまった! しかも千二百だし!
「ところでなんだっけ真君。ポイントはギャンブルとかで集められる。そう言ったの?」
「え? いやいや真君がそんな事言うわけないでしょ」
「そうだぜ。お前のそのポイントは俺らから奪ったんだもんな?」
「え? え?」
「真君? 何をさっきから黙ってるの? ほら、もう一人のユニオンの子に言ってあげなよ。ポイントもってる理由」
「そうだぜ。それともびびって声も出ないのか?」
「まじ? チョーウケル!」
 そう言って三人で笑った。雪撫はただ何も出来ずおろおろしている。
「ほらほらどーしたの? マジで声も出ないの?」
 真ん中の男が挑発をしてくる。うぜぇ……。
「まっことちゃ~ん。怖い怖いの? 大丈夫でちゅか~??」
 右の男もそれに合わせる。……あぁ、うぜぇ。
「もうやめとこうぜ。泣いちゃうからさ」
 左の男がそういった瞬間、その男の顔に拳がねじ込まれた。……まぁ、俺が殴ったんだけど。
「どいつもこいつもうるせーな。入学式の代表の言葉を喋った俺に目をつけて体育館裏で強制バトルを挑んだくせしてボコボコにされた分際で……黙れよ」
「な、なな、なに言ってんだ真君。た、確かに負けたけどあれは君の力じゃないだろ?」
「そそそ、そうだぜ? それに俺ら一応先輩なんだしけ……」
「敬語とか言うなよ? さっきからユニオンと会話が繋がってるからかキモイ喋りかたしやがって」
 ここまで言ったときにとうとう二人がキレた。その前から俺もキレてんだけどね? ……ちなみに殴った彼は気絶中。怪我はなくなっている。バトル中以外は怪我はすぐ治るのだが、頭の打ち所が悪かったようだ。
「大人しく聞いときゃあお前、何調子に乗ってんだ?」
「この前は偶然助けられただけだろうが。能力も恵まれてねぇおまえは今度こそポイントを全部取られるんだよ」
 そこまで言ったところで真ん中の男が何かを操作し始めた。
「雪撫」
 俺は雪撫だけに聞こえるような声で言った。
「いきなりなんだけど、バトルになりそうだからちょっと待ってて?」
「え!? あ、うん。って、真君戦えないんでしょ!?」
「そうだけど、やるしかないじゃん?」
 その言葉に、雪撫は自分を指差していった。
「私やろうか?」
「は?」
「いや、私なら戦えるじゃん? だから、やろうか?」
 その一言に、今日の海を思い出す。確かにあれなら……。
「OK。無理はすんなよ?」
「しないしない」
 そして、手元に不思議なウィンドゥが現れた入学式のときはあわてたがもう慣れた。

 『強制バトル(全ポ)を挑まれました。OKを押し、一分以内に準備をしてください』

 迷わずOKを押す。すると、今の景色が一転し、真っ白い部屋へと移動した。壁には残り時間1分から徐々に減っている。コレも同じだ。
「ごめんな雪撫。あとでちゃんと説明する」
「分かったよ」
 後30秒のところで『OK』のボタンを押す。白い部屋が崩れ、俺らは原っぱのようなところに立っていた。ここだけは前回と唯一違った。前回はなにもない真っ白の部屋だった。

 『それでは全ポイントをかけたバトルスタート』

 と、表示されたウィンドゥが出てきてすぐに消えた。あ、ちなみに全ポっていうのは全ポイントのことです!
「どーした真君? 女の姿になるなんて」
「もうあきらめたのか? ダッセーな」
「あ、あれ? もう始まってる?」
 ……頼んだ私が言うのもなんだけど、……心配だなぁ。

「現代アクション」の人気作品

コメント

コメントを書く