異世界召喚の予定が転生になりました…?
現実は甘くない!
あれから更に二年が経ち、学校に通う年齢の3歳になった。
通うと言っても3歳から5歳まではちょっとした勉強と遊ぶだけの場所のようで、魔法や武術を習うのは6歳以降らしい。
と言うのも、学内には安全のために一流の治癒魔法師が存在しているが、6歳までの体では初級魔法でも致命傷になりかねないので国から魔法の実技が禁止されているのである。
そう言うわけで、元の性格上自ら他人と関わりを持とうとしない俺としては通う気は無かったのだが
「一緒に登校したい!」
と言うの姉の願いと、貴族としての親の面子の為に通うことになった。
全く…面倒なことこの上ない…
以前特訓していた魔法に関してだが、自分でも驚くほどの進歩を遂げた。
二年前に挑戦していた魔法は、自分の魔力に色をつけるイメージをし、外気の魔力と自分の魔力の違いを可視化し、分離することによって、寝転びながら想像だけで物を動かせようになった。
その他にも、身体強化の属性付与や水属性の魔法も手に入れることができた。
水属性習得は、かなりの時間を費やしたものの何とかモノにすることが出来た。
方法は自分の魔力を水に浸けて同調させるだけなのだが、適正でないこともあり自分の魔力が油のように水と分離してしまうのだ。
そこで転生お得意の知識チートの出番である。
そう、乳化だ。
水と魔力を触れあわせた状態で魔力を振動させる。つまり混ぜるのだ。
この魔力操作にはかなりの集中力を使わされた。
乳化は時間が経てば分離してしまうが、魔力内に水が混じっている感覚を掴むだけで良いので、乳化させて感覚を覚えて終わりなのだ。
そんな感じで、早速知識チートを利用し、一応全属性を使えるようになった。
しかし痛感したのは、転移とか転生をしても都合良く何でも手に入れれる訳ではないと言うことだ。
今回は、俺に乳化という知識が有った為に成功しただけで、これからも何かを習得するには努力が必要なようだ…。
現実は甘くないな…
一応、魔法は楽しいし、武術も剣を振り回して冒険するのも楽しみだし、頑張ろうか…
そう決心していると…
コンコンコン
と、ノックの音が鳴り響く。
「はい」と返事をして扉を開けると…
「ウォル君!ご飯が出来たので呼びに来ました。」
サネアさんが呼びに来てくれたようだ。
「解った。ありがとう」
「ウォル君がご飯の間に部屋の掃除をしときますね!」
「掃除はしてあるよ。」
「もう!家政の仕事を取らないでください!楽ですけど!」
「楽ならそれで良いじゃない。ほら、一緒にリビングに行こうよ」
「本当に何処で覚えたんでしょうか?」
「ほら、サネアが近くで掃除していたよね?それを見て…」
「貴族の方は基本的に家政に任せるものなのですよ?」
「けれど、母様はそうはしてないよね?」
「それはそうですが…」
「ならそれで良いじゃない。」
渋々、という形で共にリビングに向かうサネアさん。
「ウォル君は、先程リビングを去って今に至る一時間何をしてたのですか?」
「本を読んだり…少しだけ学校の事も考えたかな…?」
「ウォル君…学校行きたそうにしてませんでしたよね?どうしてなのですか?」
「ほら、父様や母様に会いに来る人って怖そうな人が多いでしょ?そういう人が居る場所だと思うと少しね…」
「それはウォル君が其処でしか家族以外の人と会わないからなのですよ。それに…」
「大丈夫!お姉ちゃんが怖い人から守ってあげるよ!」
唐突に姉の登場である。
どうやら話ながら歩いていると、リビングに向かう途中にある姉の部屋の前まで着いていたらしい。
「姉さん…!びっくりしたよ…」
「ウォル!この学内ランク1位のお姉ちゃんが守ってあげるからね!」
そう、このブラコンが更に増した姉、セフィアは8歳まで居る学内で、6歳にして学内ランクトップを獲得している天才なのだ。
「ありがとう姉さん。姉さんのお陰で不安が少しとれたよ。」
「任せてね!」と自信満々にドヤ顔で言い張る姉
「ウォル君には頼もしいお姉さんが居るから大丈夫なのですよ。」
と、サネアさんまでそんなことを言う。
(面倒なだけ…なんて口が裂けても言えないよなぁ…)
そんな話をしているとリビングまで到着した。
「奥様、ウォル君をお連れしました。」
「母様、お待たせしました。」
「あらウォル、待ってないわ、掃除も案の定してたのね。流石だわ」
と頭を撫でる母親。
正直くすぐったいが我慢するしかないだろう。
「セフィも来たのね。宿題は進んでる?難しいところがあれば持ってきなさいね?」
「いえ、ウォルの声が聞こえたので少し休憩です。」
「セフィは本当にウォルが可愛いのね」
勉強を投げ出して来たのか…
しっかりしろ姉…
そして許すのか母…
食事を取りながら、母とメイド達が真面目な顔をしながら話を始めた。
「最近、この土地の郊外でB級モンスターが多数目撃されているようで…」
「ええ、あの人から聞いたわ。一応ギルド側にも要請は出してるそうだけれど、如何せん数が解らないために要求ランクが決まらないようで、期待できそうにないらしいわ」
「その他に貴族側にも動きがあるそうで、伯爵のアルカント家の私兵がリーンハイムの敷地周辺で目撃されているそうです。」
「まぁ元々リーンハイムの異端児だったあの人が戻ってきて爵位を頂いた事もあって快く思わない貴族も多いのでしょう。仕方ありませんよ。」
異端児だったのか父親…
まぁ冒険者して武術で名を馳せてる貴族が異端じゃない筈は無いよな…
「侯爵を謀ったとしても成り上がる事なんて出来ないと言うのに…無駄なことをするんですね…」
そう、この国で侯爵と公爵にあたる家は、国からの信頼と、国民からの支持率により決められた家系なので、功績だけで成り上がれるのは伯爵までらしい。
その代わり該当する家系が居なくなったり、存続が不可能になった場合にのみ、血筋や功績、市民からの評判を加味し、指名が入るらしい。
話を聞く限り、アルカント家は領地からの評判は良く、もしもの事があれば最有力候補らしい。
「貴族って難しいんですね。」
特に継ぐつもりもない俺が相槌を打っていると、
「ウォルクが入学式の時には俺も行くからな!」
と、大きな声を出しながら父のロムドが入室してきた。
「父様…あれ結構恥ずかしいよ…?」
経験者の姉がそう語る。
「ってそうじゃない…後で話がある。公務室に来てくれ」
と、とても静かな声で母に伝える父
ただならぬ事が起こったと考えて良いだろう。
父と母が重々しくも明るい空気のまま夕飯を食べることになった。
…その夜…
公務室
「急にここに呼んで申し訳ないな」
「何かあったのでしょう?」
「恐らくだが、今回の流れ的に魔族と伯爵家は繋がっていると予想している。」
「それは、状況による判断?それとも冒険者による勘?」
「勘だな…」
「それなら注意が必要ね…」
「それはどういう事なんだよ…判断力が欠けてると言いたいのか…」
「それで?どうするつもりなのかしら?」
「伯爵側が動いている事はつかめても魔族側が掴めてない。摘発するにも証拠が足りない。」
「魔族の一個体と戦う可能性が有ると言うことかしら?」
「ただの一個体なら未だ良いが…これが人族制圧の足掛かりとして相手が見ていた場合だが…」
「手に負えない…と言うことね」
「そうなると、本気で戦う上で万が一の事があってはならないが故に民や子供たちを避難させる必要があるのだが…」
「皮肉なことに、此処からもっとも近い町が伯爵の町と言うことね…」
「もしも俺らを落とすつもりなら民達には危害は加えず優遇するだろう…しかし…」
「大々的に出産報告していないウォルについてね…」
「あぁ、問題があった場合にと手を回していた事が裏目に出る可能性が非常に高い」
「これに関しては残念だけどなるようにしかならないと思うわ。」
「冷静だな…子供を失う可能性の話だぞ…」
「幼子を残して死ぬつもりは有りませんよ。私達が勝てば良いだけの話です。」
「相変わらず静かに熱いよな…まぁそこに惚れたんだが……」
「あなたも、勝手に死ぬなんて許しませんよ?」
「ははは、元より死ぬつもりなんて毛頭ないよ」
「なら、ウォルについても心配要りませんね。」
「いつになってもお前には勝てそうにないなぁ。」
「ふふ。貴方の弱いところを補うのが私の役目ですから。」
「本当に過ぎた嫁だ。」
どうもお久しぶりです。
あとがきの人です。
先月はすみません。リアルの用事が立て続けに入りこのアプリを開けない日々が続いておりました。
更新を待ってくださっている読者様、月2目標不定期更新ですが、これからも応援していただけると嬉しいです。
今回は日常からこれからの展開についての流れでしたがどうでしたでしょうか?
個人的に読み返して物足りなさを感じたのですが、文章力の都合によりここが限界でした…。
許してください…
さてさて、夏休みも終わってる頃ですが
皆様夏休みのセルフ延長とかしてませんか?
宿題を学校で血涙流しながら…なんて事になりませんでしたか?(経験者)
学校なんて全てが楽しいことなんて無いと思いますが、
昼休みの友達との絡み、図書室の静かな空間、保健室のベッド
そんな小さな幸せ目的の為だけに行くのは、全然アリだとあとがきの人は思っているのです。
…高校までは…
次回についてですが…
新キャラ登場(予定)です!(投稿現在名前は未だ無い。)
相変わらずの作品構成ですが、楽しんでいただけると嬉しい限りです。
最近は一気に冷えたので、体調管理をしっかりして頑張っていきましょう。
それでは、この辺で。
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