幼馴染み

ノベルバユーザー149399

出会いから終わり待て

『藤田麻衣』
「はい」
『山崎千尋』
「はい」
今日は大学の入学式だ。
「麻衣、同じクラスでよかったな!」
「うん!…ねえ千尋」
「ん?」
「あたし、友達出来かな?」
「えっ?」
「だって…」
「よお、千尋!久しぶりだな!」
「直樹!久しぶり!」
直樹くんは、幼稚園が一緒だった。
「えーと?」
「忘れてた?こいつ、麻衣だよ!」
「えっ、藤田!?」
「うん。久しぶりです」
「久しぶり!美人になったなぁ!」
「そんな…」
あたしは、照れてしまった。
「ムッ…」
「いっ!わっ、悪かったな」
「わー、イケメーン!」
『ホントだー!』
タタタタタ
あっという間に、千尋の回りは囲まれた。
「…」
ガタッ
あたしは席に着いて、本を読み始めた。あたしの趣味は本を読むことだ。
パラッ
「麻衣…」
あたしは一人が慣れている。だから寂しいことはない。千尋がいるから。
「みんなに伝えておくわ」
「なーに、山崎くん」
「俺と麻衣、付き合ってるから」
『えっ!!』
「…っ!」
「だからあまり、騒がないで」
『…』
ギロッ
あたしは女子全員に、睨まれた。
「…」
「…それと、いじめるとか、なしな。俺、いじめる子とか、嫌いだから。あと麻衣をいじめたら、俺がぜってー許さねぇ!分かったな!」
『…』
千尋…
あたし達が付き合っているのは、
ホント。付き合えるようになったのは、つい最近だ。それは、あたし達が中学生の頃の話だ。
「ねえ藤田さん」
「はっ、はい…」
「あなた、千尋くんと仲良いわよねぇ」
「…」
「ウザイんだよ!!」
「そうよ!いっつも千尋くんと一緒にいて!」
「もう、近寄るんじゃないよ!」
「…っ!」
あたしはそれ以来、千尋に近寄ることが出来なかった。好きだったのに…
「麻衣!」
「…!」
ある時、千尋に呼び止められた。
「なあ麻衣、なんで俺を避けるんだ?俺なんかしたか?」
あたしはその言葉を聞いて、
スー
涙を流した。
「ちょっ、どうした?」
「ごめんなさい…千尋は、なにもしてない…」
「じゃあ、どうして?」
「…っ!」
千尋の泣きそうな顔を見たら、ますます涙が溢れた。
「だって、いじめられるから…」
「えっ!」
「いじめられる…あたしが千尋のそばにいると…だから…」
ギュッ
気づくとあたしは、千尋の腕の中にいた。
「やっぱりか…気づいてやれなくて、ごめんな…」
「…っ!」
「俺のせいだよな?」
あたしは涙が溢れて止まらなかった。
「千尋のせいじゃ、ないよ…うっ、うっ…あたしのせいだよ…」
「でも、俺に近寄るなって、言われたんたろ?俺、麻衣に避けられた後、何人にも、告られた。でも俺、断った…俺には麻衣しか、心にないんだ…」
「…っ!」
「俺は、麻衣が、好きだ」
「…!」
初恋の人から、告白された。あたしはとても嬉しかった。
「あたしも、好き!」
「麻衣!」
ギュッ
「麻衣、大好きだよ!!」
「あたしも大好き!!」
チュッ
あたし達は、口付けを交わした。
「あのさ、麻衣」
「ん?」
「将来俺と、結婚してください!」
「…!はい!」
あたしは千尋から、指輪を貰った。千尋はあたしの指に、指輪を着けてくれた。
「綺麗…」
「行こ」
「えっ、どこに?」
千尋はあたしの腕を握って、教室に向かった。
「おい、麻衣をいじめたのは誰だ!」
『…』
「出て来い!」
あたしをいじめた人達が全員、出て来た。
「あのさ俺達達、将来、結婚すんだ」
『えっ!!』
「だからもう、いじめんなよ!」
『…』
「わっ、分かったわよ」
「みんなにも言っとく。こいつに手を出したら、俺が許さねぇから。覚悟しとけよ!」
『うっ、うん』
それ以来あたし達は、恋人になった。
「分かったな!」
『うん』
千尋のおかげであたしに、友達が出来た。
「沙耶ちゃん、マカロン作ってきたんだけだど…」
「えっ!!手作りすっか!?すごい!?」
「そっ、そうかなぁ?どうぞ」
「サンキュー!いっただっきまーす!ハンッ!…!美味っ!」
「ホント?」
「うん!」
「よかった~」
「なになに?マカロン?」
「千尋!食べてみて」
「ああ!ハムッ!美味い!」
「よかったー」
「お前ら、ラブラブだな」
『えっ』
「どっからどうみても、ラブラブだよ」
『アハハ』
「うっ」
「どうした?」
「なっ、なんか、気持ち悪い…」
「まさか、妊娠してるんじゃね?」
『えっ!!』
「わたしの従姉妹もそうだったから」
「うっ!」
「病院行こ」
「うっ、うん…」
検査の結果、やっぱり妊娠していた。
「やったー!」
「アハハ!」
そして、月日が経ち、陣痛が始まった。
「はあはあはあ…」
「息むよー!せーの」
「ふんっー!」
「麻衣、頑張れ!」
「頭、見えてきたよ!せーの」
「ふんっ!」
「おぎゃー、おぎゃー!」
「おめでとうございます。元気な女の子ですよ」
「はあはあはあ…」
「よく頑張ったなぁ。ありがとう、麻衣」
「うん!」
赤ちゃんに、麻子と名ずけた。あたし達は幸せに暮らしました。

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