神様を拾った俺はイケメンになれるそうです

おろしポン酢

イケメンになりたいです


少し長くなったかも……





それは、俺が冴えない一般生徒だった頃のこと……

「おーい春樹ー!」

俺の唯一の友人である織田勇気が駆け寄って来る

「春樹はもう進路決まったか?」

「俺はもう決めたぞ」

実を言うと俺は中学3年に上がってすぐに進路を決めていた

「どこどこ?」

「俺は隣町にある坂上高校一択だ」

俺がわざわざ隣町まで行くには理由がある。それは……

「えっ!俺と同じじゃねーか!美人だよなー。あそこの生徒会長」

そう。これである。自分の所為というのもあるのだが、俺は中学時代、圧倒的に足りなかった美女とのイチャイチャが欲しい。
幸いにも俺はスポーツと勉学だけには自信があるので「生徒会に入れるかも」と言う希望的観測を胸に坂上高校を志望したのだ

「それはそうと何で勇気まで坂高何だよ」

「それはな…春樹がそこにいるからだぁ!」

他人から見たら「うわ、何こいつら」となるかもしれないが、俺たちの友情は山よりも大きい。
仕方がないので俺も乗ってやろう

「勇気ッッ!お前は俺の親友なのか!?」

「親友だぁ!」

俺たちは涙を流して抱き合う。親友でもこれはないだろう…とは思わない。

「あんたたち一体何やってんのよ」

誰だ…俺たちの友情を汚す奴は

「なんだよ雫。俺たちは進路の相談をしていただけだ」

「え……そうだったの…それで春樹たちはど、どこに行くの?」

ふふーん。そう言うことか
それなら敢えて言わないでおこう

「なんでだ?お前こそどこに行くんだ?」

「まだ決まって無いかな?」

そこで空気を読んでか読まずしてか、

「俺たちは隣町の坂高に行くぜ!なぁ春樹!」

勇気がカミングアウトをした

このやろう!分かってて言いやがったな

「なんで言うんだよ。ばーかばーか!」

俺たちの間に友情などないらしい
山は山でも砂場のお山だったようだ

「そんじゃ俺たちは行くぞ」

そんなこんなで季節は過ぎていく

ーー受験当日ーー

案の定試験会場には見知った顔が2つ

「あれ?雫?なんでこんなとこにいるんだ?」

「いっ、良いじゃ無い!そ、それに…勉強頑張ったんだから少しは褒めてよ…」

大人な俺は素直に褒めてやることにした

「おぉー。よく頑張ったな雫。」

「ーーッッ!ほ、ほんとに褒めてもらえるとは思ってなかった……//

ちょろい。

こうして無事に試験は終わり、季節は春、卒業式。
卒業式が終わると何故世のリア充どもはカップルで写真を撮りたがるのだろうか

「クソッ!リア充爆発しろ」

俺とは無縁な人種に悪態をつき、帰路につく
まだ咲ききっていない桜を眺めながら帰っていると小さな公園のベンチに1匹の白猫が段ボールに入れられ、うずくまっていた
見るとその猫は見た者を魅了するような神々しさを放っている
例外なく、俺も魅了された1人だった


「なんでお前はこんなとこにいるんだ?よかったら連れて帰ってやろうか?」

その猫に話しかけるように俺は言う

「あなたは優しいですね」

すると何処からか透き通った声が聞こえてきた

誰だ?

「私はあなたが抱えている猫ですよ」

「ええ!?お前が喋ってんのか!?」

「そうです。今は少し体調が優れないですが、少し寝ればよく..なり…ま…す」

ーーーーーーーーーー

「何を食べるかよくわかんねーけど、最高級ニャン缶なら食べるだろう。あとは……」

「んゆ?」

「起きたか」

「ん?ここは?それに…あなたが温めてくれたのですか?」

「急に倒れたからな。びっくりしたよ。よかったらこれ食って少し休めよ」

「ありがとうございます」

よかったぁ〜。思わず助けたけど無事で何よりだ

「ご飯を食べたら元気になって来たのでもう大丈夫です」

少しの間だが、俺が世話を焼いた猫なのは違いないので感慨深いものがある

「ふふっそうですね。あなたには色々お世話になったので1つだけ願いを叶えて差し上げましょう。」

こいつは一体何者なんだ?

「早くしてください。もうあまり時間がありませんよ」

そんな急に言われても少し困るな…
俺が1番欲しいもの…
いや、これしかないじゃねーか
俺が欲しいもの。それは…

「じゃあ………イケメンになりたいです!」

イケメンであること。ただそれだけ

「了解しました。それでは目をつぶって下さい」

俺は言われるがままに目を閉じる

「3、2、1、」パチン

なんだか急に意識が薄くなっ…て来た…よう…な

「ついでに教えて起きましょう。私は女神と名乗っております」

「そう…いうこ…と…か…………」

ピピピッピピピッ

「はっ!?ゆ、夢?」

時計の針は7時を指していた

「やべっランニングしてない……まぁいいや。それより顔洗おう。」

今日も鏡の中にはイケメンが写っていた






「神さまを拾った俺はイケメンになれるそうです」を読んでいただきありがとうございます。
完全に自分の趣味全開ですがこれからもよろしくお願いします


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