ツンデレ妹と共に歩む異世界生活。

南沢 勇気

第一話 ツンデレ妹と異世界転送

1日目
〜兄、朝火あさひ視点〜
小鳥のさえずりが聞こえ目を覚ました。
まるで彼を歓迎するかのように…。
朝火は昨晩の深夜アニメの見過ぎで
疲れている身体を起こした。
今何時か確認すべく、スマホを探した。
まだ目を開けられず目を瞑ったまま探している。
むにゅん。
何か柔らかい物に手が触れた。
しばらく掴んで感触を確かめてみた。
何かむにっとした感じで肉まんに
布が被さった感じで…。
まくらやクッションとは違う何かだった。
答えを見ようと目を開けるとそれは
妹、美桜の胸だった。
そして運悪く…

「お兄ちゃん…何をして…」

起きてしまった。

その後、景色が違う事に気づいた。
俺達はどこかの草原で寝ていたのだった。
そしてお互いはお互いに背中を向け体育座りして
兄は反省を妹は落ち込んでいた。
兄のニキビのない頰には赤く痛そうな
もみじのマークが浮かんでいる。

「な、なあ美桜」
「…」

この状況を打破する為、先手を切って口を開いた。
姿勢を正した。背中に美桜の長い茶髪のツインテが
当たる。

「悪かった…許してくれないか?」
「…変態」
「あ、あれはたまたま当たったんだ」
「じゃあなんですぐに放さなかったの?」

膝に顔を埋めながら言った。

「ね、寝ぼけてたんだ」

ちょっと申し分けなさそうに言うと
美桜はクスッと笑った。

「お兄ちゃんらしい…」
「悪いよな…」
「そんなとこも可愛いよね」
「え?」
「なんでもない!」

スッと立ち上がって軽く伸びをすると振り向き言う。

「ここどこなの?」
「わからん」
「私らの街ではないよね」

俺達が住んでいた所は都会に近い。
比べてここは田舎っぽい所だ。
周りには森があってその反対側には
村があった。

「おおおっ…」
「どうしたの」
「これが異世界か…!!」
「まだ分かんないよ!」

そしてしばらく歩く事にした。
目的は状況把握とここがどこでなんなのか。

「最初は村からだな」
「そうね、まずは食料の確保かな」
「そうなるな」

サバイバルのような出来事に朝火は目を
煌めかせた。
十分くらいかかって村に到着した。
全体的に普通のサイズで小さく無ければ
大きくも無い。
普通にお店があるのだが…

「なんなのここの人達は…」

そう問題はそこに住む住人だ。
動物と人間が組み合わさった感じで
RPGによく居そうな人だ。
まず話してみる。朝火では相手に不快な思いをさせる
為、美桜が話してみる。朝火は物陰から見守った。

「あの…」
「ん、見ない顔だねぇ」

対象は馬の頭をしていて身体は人間の
おばちゃんだ。

「お、私は…その」
「新しく来た子かねぇ?」
「まあそんな感じです」

これからお世話になるかもなので答えた。

「そうかいそうかい、じゃ村長に挨拶は
済んだのかい?」
「そ、村長?」
「んだよ、あの赤屋根が村長の家だよ」

赤屋根に指差し言った。気付けば赤屋根は
指差した一軒しかない。

「あ、ご親切にありがとうございます」
「いいよいいよ、いつでも頼りなねぇ」
「それにしても可愛い娘だねぇ」
「うちの息子と結婚させたいよ」

するとおばちゃんの後ろから小さな子供が顔を
覗かせた。

「可愛いお子さんですね」
「あら〜あなたには及ばないさね」

美桜は子供の頭を撫でると笑った。

「それでは失礼しますね」
「んだ。頑張んなねぇ」

手を振ると子供も手を振ってくれた。
めっちゃいい人だ。
朝火が駆け寄る。

「なにをニヤニヤしてる」
「だってあの子可愛いんだもん」
「フッあれくらいたくさんいる」
「あっそ」
「言葉は通じたようだな」

朝火にさっき話した事を伝え、村長の家へ
行く事にした。

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