強奪の勇者~奪って奪って最強です~

雪桜 尚

ドワーフから強奪!!⑦

「んぁ」

寝ぼけ眼で天井を見上げる。
見慣れたようで見慣れてないようなそんな天井を見てぽつりと呟いた。

「俺、生きてるんだな」
「んにゅう」

それと同時にエイミーが眠りから覚める。
暫く起き抜けで焦点の合わないまま視線を彷徨わせていたが俺を見つけると

「ご主人様ー!!」

目に大粒の涙を溜め抱きついてくる。

「いて!!」

全身を突き抜けるような激痛が走る。

「すいません!!」
「いいよ」

そう言って俺はエイミーを抱きしめた。

「な、ななななな、なに、何をするんですかぁ!!」

自分から抱きつくのはいいが俺が抱きしめるのは恥ずかしいらしい。
エイミーの顔は真っ赤に染まり、とんでもない動揺をしながら両手をわちゃわちゃさせている。

「はははは」
「何が面白いんですかぁ!!」
「いや、慌ててるエイミーも可愛いなと思ってな」
「はうぅ」

ボシュ!!と音を立てそうなほど顔が赤く染まる。
そして

「きゅぅぅぅ」

変な声を上げながら倒れてしまった。
俺も一瞬慌てはしたが、少し前にも同じことがあったなと思い、そのまま寝かせておくことにした。

「鑑定」

目の前に半透明のウィンドウが表示された。

名前:アルティオム・ルーカス                    年齢:15

レベル:234

HP  68000/680000
MP  7000000/7000000
ATC 99999
DEF 99999
AGL 99999

《スキル》

龍魔法 飛翔 火魔法 回復魔法  神龍霊装
剣術

祝福ギフト

強奪・全 鑑定・全 神速   女神の想い人

うぉい、なんか変なのが祝福に入ってる!
そう思い、女神の想い人に注目しているとさらに詳しい内容が見えてきた。

《女神の想い人》

世界神14柱の1柱、創造神・シュリンの想い人に与えられる世界からの祝福。
地上のものに与えられるのは初めて。
P.S
この世界は一夫多妻制だよ〜

なんだこれ?最後のは自分を加えろと言うことだろうか?
しかもこの祝福なんの効力もなさそうだ。

P.S
効力は世界神の加護と同じで相手の魔法に鑑賞できるよ!!
感謝したんだったら私をハーレムに加えてね!!

あっ、更新された。
目の前のウィンドウにシュリンをハーレムに加えますか?と言うアイコンが浮かんでいる。
選択肢ははいとYESしかない。
悩みながらもYESを選択する。
すると

「ありがとー!!」

俺を異世界に転成させてくれた女神、正式名称創造神・シュリンが俺の目の前に現れた!
シュリンは仲間になりたそうにこちらを見ている。
そんな文字を幻視してしまうような瞳でこちらをじっと見つめている。
可愛い
俺がそんなことを思っていると、ものすごい勢いでこちらに飛びかかってくる。

「ちょおま、待てって!!」

俺がとっさに目を瞑る。
しかし、いつまで待っても衝撃はやってこない。
恐る恐る瞑っていた目を開くとそこには……

「痛い痛い痛い」

エイミーにアイアンクローをされているシュリンの姿があった。

「なんなんですか、あなたは?」

口調は柔らかいし顔には微笑みが浮かんでいるが背後には修羅が見える。
あれは微笑みなんてものではない。もっと恐ろしい何かだろう。

「は、離してやってくれエイミー」
「ご主人様がそうおっしゃるのでしたら」

エイミーはそう言うとシュリンをアイアンクローから解放する。

「あいたたたた。全く仮にも私神様なんだからもっと優しくしてよね!」

シュリンは頬を膨らませてエイミーにそう言った。

「ご主人様なんですか?この子。神様とか訳のわからないことを抜かしてますけど」

エイミーはかわいそうな子供を見るような目でシュリンを見ている。

「信じられないかもしれないけどこいつは確かに神だよ」
「ふっふ〜ん」

シュリンはどうだっと言わんばかりにその豊かな(と言ってもエイミーほどではない)胸を張る。
エイミーは信じられないと言った表情をしていたが、

「ご主人様のお知り合いであれば神様がいてもおかしくないですね」

と納得してしまった。
それに関しては納得いかないが、引き下がってくれるのならそれでいいだろう。

「私は世界神14柱の1柱、創造神・シュリンよ。アルティオムハーレムの一員だからよろしくね!!」

シュリンが改めてエイミーに向けて挨拶をすると、エイミーの背後に修羅が再来した。

「なんて言った?シュリンさん。今、私の耳がおかしくなかったらアルティオムハーレムって聞こえたんだけど」
「間違ってないわよ?私はアルティオムハーレムの一員だもの」
「ちなみにそのハーレムには誰が入ってるのかな?」

恐ろしい。まさかエイミーはこんなことになってしまうとは

「キュテリアとエイミーと私だよ!!」

シュリンはさも当たり前のように首を傾げながら答える。
まずまずに俺はハーレムなんて作った気はないんだが……

「う〜ん…それなら仕方ありませんね。アルティオムハーレムに加入することを一時的にですが認めます」
「やったね!!
「近いうちにキュテリア様ともこのお話をしなければなりませんが。あとご主人様?少しよろしいでしょうか」

俺はエイミーに連れられて部屋の外に連れ出される。

「ご主人様はいつハーレムなんて作ったのですか?」
「いつって言われても……」

こればっかしは俺にも全く見に覚えがないため回答のしようがない。

「そもそもご主人様は私の、いえ、私たちの気持ちに気付いてらっしゃいますか?」

俺は首をかしげる。
エイミーは一体なんのこと言っているのだろうか?

「はぁ……わかりました。仕方ありませんね。まあそんなご主人様も大好きですけどね」

後半からはエイミーの声が小さすぎて聞き取れなかったが、納得してくれたようなのでよしとしよう。

龍)主は天然の女たらしじゃの
神)むしろ女殺じゃないっすか?

ダブルセイクリッドが大変不名誉なことを言ってやがるが俺は気にしない。気にしな言ったら気にしないのだ。
こうして、一悶着あったが俺たちは朝食を取りに食堂に向かった。
あれ?何か忘れてる気が

「アルもエイミーもどこ行ったんだろ?」

完全にシュリンのことを失念し後でこってり怒られた俺の名はアルティオム・ルーカスである。

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