ロリっ娘女子高生の性癖は直せるのか
【スピンオフ・修善寺の過去】高校生編「演技」
後ろを振り向いて何やら合図を出す瑛美。すると物陰から一人の男が現れた。
「はて。そちらの殿方は一体何者じゃ?」
私の質問に瑛美は得意気な表情で答える。
「この男は宮ヶ谷晴流。あたしの幼馴染みよ」
「なるほど。瑛美殿の旧友でいらしたか。じゃがお主、貧相な顔をしているのう。生気が無いというか、気だるそうというか……」
「まあ見た目はそうよねー。だるそうな目してるしー」
「おい! 露骨に俺ディスるのやめてくれよ!」
この男が瑛美と桜の想い人である晴流なのか。頼り甲斐があると聞いていたが弱々しい見た目だな……。
それにしても何故このタイミングで晴流を呼び出したのだろう。私に自慢でもするつもりなのか?
「ところで宮ヶ谷殿は童に何の用で来たのじゃ?」
「えっとそれは……」
言葉に詰まらせる晴流に瑛美が待ってましたと言わんばかりに答える。
「ふふふ、それはもちろんあなたに地獄を見せてあげるためよ」
「地獄? わしがこんな庶民に?」
自分のことを棚に上げて偉そうな口を叩いてしまったが、瑛美や桜以外に私が貧乏であると知られてほしくないので許してくれ。
しかし地獄を見せるとは一体……?
「ええそうよ。晴流はこんな見た目だけど実は地元では有名な不良なんだから」
「ふ、ふりょ!?」
その言葉を聞いた瞬間、私の体は勝手に震え出した。
迂闊だった……。私のトラウマを瑛美は知っているから、報復に怖い男を会わせてやろうという作戦だったのだろう。私としたことが、全くの想定外だった……。
一方で瑛美は楽しそうに笑いながら更なる追い討ちをかける。
「こいつはね。バイクで校舎を暴れまわったり、煙草とか普通に吸うのよ?」
「はぁ!? 俺はそんな犯罪はし……ぐはぁ!?」
瑛美は表情を変えぬまま晴流の腹にパンチした。
あれ、いくら幼馴染みの関係とはいえ不良相手に女子が殴るか? そもそも晴流は本当に不良なのだろうか……?
冷静になって考えてみる。だが弱々しい風貌の彼が非行に走っている姿を想像することはできなかった。
もしかすると瑛美は知り合いにイカつい男子が居なかったから晴流に不良を演じさせているのではないだろうか。不良という言葉を聞いて条件反射的に怯えてしまったが、よく見れば彼に恐怖を漂わせるオーラは全く感じられない。それどころか優しさや安心してしまいそうな雰囲気さえある。
私は決心した。
「あ、あぁ。バイクとか、ブンブン走っちゃってるぞ」
「ひ、ひぃぃぃ!」
怯える演技をすることにしたのだ。
ここで私が怖くないと言ってしまえば晴流のプライドに傷を付けてしまうかもしれない。それに計画を企てたであろう瑛美が気を落としてしまう可能性もある。余計なお世話かもしれないが、私は親友の顔を立てることにした。
「こ、怖いのじゃ。怖いのじゃああ!」
「はは、ざまあないわねー!」
悲鳴と共に目に涙を浮かべている。少々やりすぎ感はあるが、我ながら完璧な演技ではないだろうか。将来は女優なんてのもアリかもしれない。
「こんな危険な者を連れて来るなんてそ、そなたは馬鹿か! アホか! 間抜けか!」
「あんたが調子に乗るからいけないのよ? 不良恐怖症さん?」
楽しそうに笑う瑛美は私の演技に全く気付いてないようだ。屈辱的だがこれなれば最後までやり通すしかない。どうせなら徹底的にやろうと思った。
「く、くそ! 童の弱みを握った卑怯な手段。わ、わしは許さないぞ!」
「それは結構。好きなだけ文句を言うがいいわ。……だけど、この不良が黙ってるとは限らないけどね?」
瑛美は言いながら晴流の肩を叩いた。
「あ、あぁ。……俺は何かと許さない奴だからな!」
ぎこちない晴流の言葉に思わず吹きそうになる。やはり彼は本物の不良ではない。無理矢理演じさせられて困っている心情が凄く伝わってくる。
「宮ヶ谷殿! いや宮ヶ谷様! 先程の侮言を申した事、大変失礼だった。か、覚悟はできているが、どうか、命だけは助けてくだせぇ……えっぐ」
その場に跪いて溢れた涙を地面に落としてみる。すっかり役にハマってしまい大袈裟な反応をしてしまったが大丈夫だろうか……。
すると晴流は堂庭に何やら耳打ちをし始めた。マズい……流石にバレてしまったか……?
しかし瑛美は腕を組んで全力のドヤ顔を浮かべながら続けた。
「そんな可愛らしく泣いても私の怒りは収まらないわよ! あんたにはお仕置きを受けてもらうわ!」
「まだするのかよ!?」
不良のはずの晴流も引き気味の様子。流石は瑛美。容赦ないな。
「ぐすん、え、瑛美殿。どうか童の犯した罪を許しておくれ! 修善寺家の名を持って、わしの身を捧げて何でも言う事を聞こう! だから……」
「駄目よ。学園で浮かれてるあんたには、少し罰を与えないといけないわ」
確かに学園から浮いた存在ではあるが、これ以上の罰を受けるとは鬼畜な親友である。
でも瑛美の事だからどうせ大した罰ではないだろうと高を括っていたが、まさかの提案を彼女はした。
「明日、晴流と二人で一日デートしなさい!」
不良と二人きりにさせるとか正気なのかこのお嬢様は。
だが晴流が芝居をしていると見破っている以上、私には全く問題無い。どうせなら瑛美の想い人である彼に色々聞いてみよう。
こちらとしては好都合だ。
「はて。そちらの殿方は一体何者じゃ?」
私の質問に瑛美は得意気な表情で答える。
「この男は宮ヶ谷晴流。あたしの幼馴染みよ」
「なるほど。瑛美殿の旧友でいらしたか。じゃがお主、貧相な顔をしているのう。生気が無いというか、気だるそうというか……」
「まあ見た目はそうよねー。だるそうな目してるしー」
「おい! 露骨に俺ディスるのやめてくれよ!」
この男が瑛美と桜の想い人である晴流なのか。頼り甲斐があると聞いていたが弱々しい見た目だな……。
それにしても何故このタイミングで晴流を呼び出したのだろう。私に自慢でもするつもりなのか?
「ところで宮ヶ谷殿は童に何の用で来たのじゃ?」
「えっとそれは……」
言葉に詰まらせる晴流に瑛美が待ってましたと言わんばかりに答える。
「ふふふ、それはもちろんあなたに地獄を見せてあげるためよ」
「地獄? わしがこんな庶民に?」
自分のことを棚に上げて偉そうな口を叩いてしまったが、瑛美や桜以外に私が貧乏であると知られてほしくないので許してくれ。
しかし地獄を見せるとは一体……?
「ええそうよ。晴流はこんな見た目だけど実は地元では有名な不良なんだから」
「ふ、ふりょ!?」
その言葉を聞いた瞬間、私の体は勝手に震え出した。
迂闊だった……。私のトラウマを瑛美は知っているから、報復に怖い男を会わせてやろうという作戦だったのだろう。私としたことが、全くの想定外だった……。
一方で瑛美は楽しそうに笑いながら更なる追い討ちをかける。
「こいつはね。バイクで校舎を暴れまわったり、煙草とか普通に吸うのよ?」
「はぁ!? 俺はそんな犯罪はし……ぐはぁ!?」
瑛美は表情を変えぬまま晴流の腹にパンチした。
あれ、いくら幼馴染みの関係とはいえ不良相手に女子が殴るか? そもそも晴流は本当に不良なのだろうか……?
冷静になって考えてみる。だが弱々しい風貌の彼が非行に走っている姿を想像することはできなかった。
もしかすると瑛美は知り合いにイカつい男子が居なかったから晴流に不良を演じさせているのではないだろうか。不良という言葉を聞いて条件反射的に怯えてしまったが、よく見れば彼に恐怖を漂わせるオーラは全く感じられない。それどころか優しさや安心してしまいそうな雰囲気さえある。
私は決心した。
「あ、あぁ。バイクとか、ブンブン走っちゃってるぞ」
「ひ、ひぃぃぃ!」
怯える演技をすることにしたのだ。
ここで私が怖くないと言ってしまえば晴流のプライドに傷を付けてしまうかもしれない。それに計画を企てたであろう瑛美が気を落としてしまう可能性もある。余計なお世話かもしれないが、私は親友の顔を立てることにした。
「こ、怖いのじゃ。怖いのじゃああ!」
「はは、ざまあないわねー!」
悲鳴と共に目に涙を浮かべている。少々やりすぎ感はあるが、我ながら完璧な演技ではないだろうか。将来は女優なんてのもアリかもしれない。
「こんな危険な者を連れて来るなんてそ、そなたは馬鹿か! アホか! 間抜けか!」
「あんたが調子に乗るからいけないのよ? 不良恐怖症さん?」
楽しそうに笑う瑛美は私の演技に全く気付いてないようだ。屈辱的だがこれなれば最後までやり通すしかない。どうせなら徹底的にやろうと思った。
「く、くそ! 童の弱みを握った卑怯な手段。わ、わしは許さないぞ!」
「それは結構。好きなだけ文句を言うがいいわ。……だけど、この不良が黙ってるとは限らないけどね?」
瑛美は言いながら晴流の肩を叩いた。
「あ、あぁ。……俺は何かと許さない奴だからな!」
ぎこちない晴流の言葉に思わず吹きそうになる。やはり彼は本物の不良ではない。無理矢理演じさせられて困っている心情が凄く伝わってくる。
「宮ヶ谷殿! いや宮ヶ谷様! 先程の侮言を申した事、大変失礼だった。か、覚悟はできているが、どうか、命だけは助けてくだせぇ……えっぐ」
その場に跪いて溢れた涙を地面に落としてみる。すっかり役にハマってしまい大袈裟な反応をしてしまったが大丈夫だろうか……。
すると晴流は堂庭に何やら耳打ちをし始めた。マズい……流石にバレてしまったか……?
しかし瑛美は腕を組んで全力のドヤ顔を浮かべながら続けた。
「そんな可愛らしく泣いても私の怒りは収まらないわよ! あんたにはお仕置きを受けてもらうわ!」
「まだするのかよ!?」
不良のはずの晴流も引き気味の様子。流石は瑛美。容赦ないな。
「ぐすん、え、瑛美殿。どうか童の犯した罪を許しておくれ! 修善寺家の名を持って、わしの身を捧げて何でも言う事を聞こう! だから……」
「駄目よ。学園で浮かれてるあんたには、少し罰を与えないといけないわ」
確かに学園から浮いた存在ではあるが、これ以上の罰を受けるとは鬼畜な親友である。
でも瑛美の事だからどうせ大した罰ではないだろうと高を括っていたが、まさかの提案を彼女はした。
「明日、晴流と二人で一日デートしなさい!」
不良と二人きりにさせるとか正気なのかこのお嬢様は。
だが晴流が芝居をしていると見破っている以上、私には全く問題無い。どうせなら瑛美の想い人である彼に色々聞いてみよう。
こちらとしては好都合だ。
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