ロリっ娘女子高生の性癖は直せるのか

きり抹茶

6-4 「パンチラも至高よね」

「これは去年の冬コミ限定のタペストリーなんだけど……」

 堂庭の部屋に入るなり、奴はそこら中にある幼女アニメやゲームのグッズについて一つ一つ丁寧に解説し始めた。
 俺に対する態度は既に以前の状態に戻っている。それどころかヒートアップしている様にも見える。抑えていたロリ愛が爆発したのだろうか。堂庭の熱弁は止まらない。

「見て見て! このキノちゃんの腋っ! あぁもう駄目……ぺろぺろ」
「おい本当に舐めるなよ汚ぇな」

 キノちゃんと呼ばれたそのフィギュアに俺は同情したい。運が悪かったな。来世はまともなご主人様に買われると良いな、と。

「園服からのパンチラも至高よね。ムチムチ具合が完璧だわ……」

 もう何言ってんのこの子……。そのうちピー音が入りそうなんですけど。

「パンツ捲れないかな。ツルツルも見たいわよね……」
「はいはいストーップ。放送自粛入りまーす」

 隣に座っている桜ちゃんは溜め息をついて既に諦めモードになっていた。というか妹に呆れられる姉ってどうなのよ。

「なにようるさいわね」
「そりゃこっちのセリフだ。お前は恥じらいとかそういうのは無いのかよ」

 青少年の健全育成の為にも堂庭の口には是非ともフィルタリング機能を搭載してもらいたい。

「幼女を語る上で恥は悪よ。あたしはあたしを磨く為にも幼女を愛さねばならないのだからっ!」
「徹底してるよな本当……。それよりもその……お互い言う事あるんじゃないのか?」

 もごもごとした声で問うてみる。
 普段と同じような堂庭に戻って一安心したとはいえ、このままお互いに謝りもしないのはむず痒い気がした。
 堂庭も恐らく仲直りするタイミングを逃していたのだろう。

「え、えぇそうね……。桜、悪いんだけど駅前にあるお店のケーキを三つ程買ってきてくれないかしら。お金は渡すから」
「うん、分かった! お姉ちゃんの頼みなら断れないね」

 元気よく頷いた桜ちゃんは堂庭から数枚の紙幣を受け取ると手早く部屋から出て行った。
 パシられてるのに笑顔で快諾するなんて良く出来た妹だ……。いや、堂庭が暴走するこの状況から抜け出せた事に喜んでるだけかもしれないが。

「さあ、これで邪魔者は消えたわ」
「お前それ言いたかっただけだろ」

 両手を腰に当てて謎の強者気取りをした堂庭だったが、やがてソファーにちょこんと座った。
 大人しくなったところで俺から話を切り出す。

「この間はすまん……。ついカッとなっちゃって……」

 いざ謝るとなると恥ずかしいものだな。堂庭にこんな事言うのは初めてだし……。

「えぇ……。もうあたし怒ってないから。気にしないで」

 そっぽを向いて独り言のように答える堂庭。しかし彼女はそのまま体育座りになって膝に顔を当てながら続けた。

「あたしの方こそごめん……。修善寺が突然うちの学校に来て、あたしもよく分からなかったから……」

 最後はお互いの目が合った。
 堂庭は今まで見た事がないくらい申し訳なさそうな顔をしていた。また、丸く縮こまっている体も相俟って、彼女がとても弱々しく見えた。それはまるで迷子になって途方に暮れる女の子のように……。
 珍しい様子の堂庭に呆気に取られていた俺だが、ふと視線を下にずらすととんでもない事実が判明した。

「み、水玉だ……」
「えっ…………」

 体育座りの堂庭が穿くスカートはその役目を果たしていなかった。両脚から覗かせた小さい布切れを見てしまった俺はすぐさま目線を逸らしたが、柄は確かに水玉だった……はず。
 桜ちゃんは縞柄と言っていたのに違うじゃないか! いや、論点はそこじゃないか……。
 一方堂庭は見る見るうちに顔を赤くして両手でスカートを素早く押し付けた。

「晴流のエッチ、変態、ロリコン!」
「お前に言われたかねぇよ……って痛ぇ」

 堂庭は幼女グッズであるクッションやフィギュアを次々と俺に投げ付けてきた。
 というか幼女を愛してるくせにグッズを乱暴に扱って良いのかよ。

「そういう恥じらいはあるんだな」
「当たり前でしょ!? あたしだっての女の子なんだからっ」

 お前が言うな、とは言わないでおく。
 ともあれ、堂庭との仲は元通りになっただろう。
 修善寺さんと堂庭の関係も気になるところだが、今は愛川さんの動向に注視したいよな。

 堂庭との乱闘(?)はその後もしばらく続いた。

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