ロリっ娘女子高生の性癖は直せるのか
3-5 「リア充滅ぶべし!!」
週明けの月曜日。
放課後、俺はいつも通り教室でスマホを弄りながら奴が来るのを待っていた。
そして幾分の時が流れ……。
「ふん、待たせたわね!」
金色のツインテールを揺らしながらこちらにやってくる一人のロリ、じゃなくて堂庭。
俺はスマホの時計を確認したが、まだ放課後から十分程度しか経っていなかった。
「今日は早かったんだな」
「まぁね、委員長の仕事も慣れたものだから! ……あたしも段々とデキるロリになってきたって感じ?」
「おい後半の発言はかなり問題だぞ」
素で言ったと思われるが、今のは解釈の仕方によればとんでもない意味になるよな?
俺は平常どおりの暴走を続ける堂庭に冷ややかな視線を送った。
「とりあえず帰るわよ晴流……って」
言いかけた堂庭が後ろを振り向く。
釣られて俺も視線をずらすと、クラスメイトの女子が声を上げながらこちらに駆け寄ってきた。
「堂庭ちゃーん! ちょっといい?」
「あ、うん、何?」
「えっとこれなんだけど……。ごめんね、私まだプリント出してなかったから」
言いながら堂庭に一枚のプリントを差し出す。
あれは……進路希望調査か。そういえばそんなのあったよな……。
「全然平気だよ。ありがとね」
「うん、でも大丈夫? もう先生に出しに行ったんじゃ……」
「いやいや、まだ時間も早いし帰りに寄っていくから気にしないで。それに……」
堂庭の顔がこちらに向けられる。そして表情も女神のような笑顔から見るも恐ろしい引きつった笑顔に変わった。
「期限が過ぎているというのに申告すらしないおバカさんもいるからねぇ~?」
「堂庭ちゃんなんか怖いよ! 笑ってるのに凄く怖いよ!」
慌てるクラスメイトの女子に俺は謝りたいと思った。
ごめんなさい、プリントの存在すら忘れていた俺が悪いんです。
「まあこのプリントはあたしが預かっておくから。お疲れ様、また明日ね!」
「あ、うん、また明日……」
怪訝そうな顔をして教室から出て行ったクラスメイトに対し、俺は強く申し訳ない気分になった。
「よしじゃあ帰ると――」
「待ちなさいよ」
「……え?」
「なに呑気に帰ろうとしているのよ。……先に進路調査の紙を出しなさい」
さらりと場を流そうと思ったがやはり駄目だったか。
流石はクラス委員長である。学校に居る時の堂庭には頭が上がらない。
「あのプリント多分家にあるんだよ。だから明日な」
「ふんっ。……分かったわ。明日、絶対だからね!」
ぷすっと頬を膨らます堂庭。これだと帰り道にとばっちりを受ける可能性があるな……。
俺は憂鬱な心情の中、席を立とうとしたがまたも堂庭を呼ぶ声が聞こえた。今度は俺の名前も入っている。
そしてこちらにやってくる影。あれは……平沼か。
「おっす! 宮ヶ谷に二ワッちゃん!」
「何その呼び方超キモいんですけど」
ハイテンションな平沼に対して堂庭はゴミを見るような目で彼を睨む。……しかしタイミングの悪い時に現れたな、平沼。
「いやはや、ご気分が優れないようですかねぇ、ニワッちゃん?」
「うるさいわね。関係ないでしょ」
もうそれ以上堂庭を煽るのはやめた方がいいと思うのだが……。
そんな事を考えているとふと聞きそびれた事を思い出した。
「あ、そういえば平沼。来月の七日は暇?」
「来月? あぁ、もしかして七夕祭り?」
「そうそう。堂庭や桜ちゃんと一緒に行く予定なんだけどお前も来る?」
「はぁ? ちょっと待って。なんでコイツまで誘おうとするのよ」
ギロリと堂庭に睨まれる。
まあ嫌がる気持ちは分かるが、桜ちゃんに「誘えるだけ誘ってほしい」と言われた以上、声を掛けないのも可哀想だと思うしな。
それに男一人に女の子が複数というのもなんか気まずいしね……。
「ハッハッハ。嫌われたもんだな、俺も」
「何だよその余裕ぶった言い方は。なんか腹立つぞ」
「殴っていいかしら?」
堂庭の怒りの矛先が俺から平沼に変わる。
「ふはは、殴られるのは痛いから勘弁な。……それで、残念ながら七夕は宮ヶ谷達と一緒に行けない」
「ん、そうか。用事でもあるのか?」
「まぁ用事というかなんというかだな……」
やけに嬉しそうな表情をしながら話す平沼。
先ほどからコイツのテンションはおかしい気がする。頭でも打ったか?
そんな平沼は一呼吸すると冷たい視線を注ぐ俺と堂庭に声を張り上げながら
「今年の七夕祭りは彼女と行く事になってるからな!」
リア充宣言をした。
「……はぁ!?」
「何ですって!?」
思わず呆気にとられる。まさに開いた口が塞がらない。
「おい平沼どう言う事だよ! お前愛川さんにフラれたんじゃなかったのかよ!」
平沼は学園のアイドルと呼んでも過言ではない心優しい女の子、愛川さんに見事玉砕していた、はずだったのだが。
「宮ヶ谷よ。俺は日々成長する男だぜ。この前同じ塾の子に告ってオッケーをもらったんだよ」
「おまっ! マジかよ……」
まさかこんな奴に彼女ができるなんて。まったく世知辛い世の中だぜ……。
俺は何とも言えない悔しさが湧き出て唇を噛みしめる。
そして堂庭の方を見やると彼女は口元に手を当てて何か我慢しているようだった。
「ぷ、クスクス……。平沼、君に、彼女……ぷすっ」
あれ、笑っていらっしゃる?
「ちょっ、ニワッちゃん! 何がおかしいんだよ!」
「だってこんな最低な男子に彼女って、相手も見る目が無かったのね」
「いやいや! 寧ろ俺に告られた事に感謝しているはずだぜ?」
「はぁ? どうしたらそんな思考になるわけ? マジウケるんですけど」
もう手を口に押さえるのをやめてケタケタと嘲笑う堂庭。
何というか平沼にはいつも敵対心剥き出しだよな。
「ふふ、ふはははは。……ニワッちゃん、俺分かったぜ?」
「は? 何が?」
「ニワッちゃんには宮ヶ谷という旦那がいるから、高みの見物ってトコなんだろ?」
「な!? そ、そんな事……」
ピューっと顔が真っ赤に染め上がる堂庭。
だから平沼はからかってるだけだって。そんな真に受ける事もないのに……。
「ば、馬鹿じゃないの!? は、晴流なんか全然好きじゃないんだからっ!」
「ほほーん? だってさ、宮ヶ谷?」
「あぁ? 何故俺に聞く?」
「またまたー! さては夫婦の仲に乱入した事が嫌だったのかな?」
「おい堂庭。アイツを処分するぞ」
「オッケー、任せなさい!」
流石の俺でも耐えられない。平沼の奴はきっと彼女ができて俺達に自慢したかっただけなのだろう。
一度黙らせておく必要があるようだ。
「さぁ晴流! 行くわよー!」
堂庭の掛け声で俺達は同時に叫ぶ。
「「リア充滅ぶべし!!」」
「ちょっ! お前らが言えるセリフかよ!?」
平沼は動揺しながらも一歩、また一歩と後ずさる。
「くそっ! 今日はこの辺で退散してやる!」
「あ、逃げたわ! 追うわよ!」
一目散に教室から出ていく平沼を全力で追いかける。
だが平沼の足は想像よりも速く、確保には至らなかった。
「はぁ……。何やってるんだろうな。俺達は」
「ふふ、馬鹿みたいな一日だったわね」
「まったくだな。……もう帰るか」
「そうね」
静まり返った廊下で俺達は向き合い、苦笑いを浮かべた。
放課後、俺はいつも通り教室でスマホを弄りながら奴が来るのを待っていた。
そして幾分の時が流れ……。
「ふん、待たせたわね!」
金色のツインテールを揺らしながらこちらにやってくる一人のロリ、じゃなくて堂庭。
俺はスマホの時計を確認したが、まだ放課後から十分程度しか経っていなかった。
「今日は早かったんだな」
「まぁね、委員長の仕事も慣れたものだから! ……あたしも段々とデキるロリになってきたって感じ?」
「おい後半の発言はかなり問題だぞ」
素で言ったと思われるが、今のは解釈の仕方によればとんでもない意味になるよな?
俺は平常どおりの暴走を続ける堂庭に冷ややかな視線を送った。
「とりあえず帰るわよ晴流……って」
言いかけた堂庭が後ろを振り向く。
釣られて俺も視線をずらすと、クラスメイトの女子が声を上げながらこちらに駆け寄ってきた。
「堂庭ちゃーん! ちょっといい?」
「あ、うん、何?」
「えっとこれなんだけど……。ごめんね、私まだプリント出してなかったから」
言いながら堂庭に一枚のプリントを差し出す。
あれは……進路希望調査か。そういえばそんなのあったよな……。
「全然平気だよ。ありがとね」
「うん、でも大丈夫? もう先生に出しに行ったんじゃ……」
「いやいや、まだ時間も早いし帰りに寄っていくから気にしないで。それに……」
堂庭の顔がこちらに向けられる。そして表情も女神のような笑顔から見るも恐ろしい引きつった笑顔に変わった。
「期限が過ぎているというのに申告すらしないおバカさんもいるからねぇ~?」
「堂庭ちゃんなんか怖いよ! 笑ってるのに凄く怖いよ!」
慌てるクラスメイトの女子に俺は謝りたいと思った。
ごめんなさい、プリントの存在すら忘れていた俺が悪いんです。
「まあこのプリントはあたしが預かっておくから。お疲れ様、また明日ね!」
「あ、うん、また明日……」
怪訝そうな顔をして教室から出て行ったクラスメイトに対し、俺は強く申し訳ない気分になった。
「よしじゃあ帰ると――」
「待ちなさいよ」
「……え?」
「なに呑気に帰ろうとしているのよ。……先に進路調査の紙を出しなさい」
さらりと場を流そうと思ったがやはり駄目だったか。
流石はクラス委員長である。学校に居る時の堂庭には頭が上がらない。
「あのプリント多分家にあるんだよ。だから明日な」
「ふんっ。……分かったわ。明日、絶対だからね!」
ぷすっと頬を膨らます堂庭。これだと帰り道にとばっちりを受ける可能性があるな……。
俺は憂鬱な心情の中、席を立とうとしたがまたも堂庭を呼ぶ声が聞こえた。今度は俺の名前も入っている。
そしてこちらにやってくる影。あれは……平沼か。
「おっす! 宮ヶ谷に二ワッちゃん!」
「何その呼び方超キモいんですけど」
ハイテンションな平沼に対して堂庭はゴミを見るような目で彼を睨む。……しかしタイミングの悪い時に現れたな、平沼。
「いやはや、ご気分が優れないようですかねぇ、ニワッちゃん?」
「うるさいわね。関係ないでしょ」
もうそれ以上堂庭を煽るのはやめた方がいいと思うのだが……。
そんな事を考えているとふと聞きそびれた事を思い出した。
「あ、そういえば平沼。来月の七日は暇?」
「来月? あぁ、もしかして七夕祭り?」
「そうそう。堂庭や桜ちゃんと一緒に行く予定なんだけどお前も来る?」
「はぁ? ちょっと待って。なんでコイツまで誘おうとするのよ」
ギロリと堂庭に睨まれる。
まあ嫌がる気持ちは分かるが、桜ちゃんに「誘えるだけ誘ってほしい」と言われた以上、声を掛けないのも可哀想だと思うしな。
それに男一人に女の子が複数というのもなんか気まずいしね……。
「ハッハッハ。嫌われたもんだな、俺も」
「何だよその余裕ぶった言い方は。なんか腹立つぞ」
「殴っていいかしら?」
堂庭の怒りの矛先が俺から平沼に変わる。
「ふはは、殴られるのは痛いから勘弁な。……それで、残念ながら七夕は宮ヶ谷達と一緒に行けない」
「ん、そうか。用事でもあるのか?」
「まぁ用事というかなんというかだな……」
やけに嬉しそうな表情をしながら話す平沼。
先ほどからコイツのテンションはおかしい気がする。頭でも打ったか?
そんな平沼は一呼吸すると冷たい視線を注ぐ俺と堂庭に声を張り上げながら
「今年の七夕祭りは彼女と行く事になってるからな!」
リア充宣言をした。
「……はぁ!?」
「何ですって!?」
思わず呆気にとられる。まさに開いた口が塞がらない。
「おい平沼どう言う事だよ! お前愛川さんにフラれたんじゃなかったのかよ!」
平沼は学園のアイドルと呼んでも過言ではない心優しい女の子、愛川さんに見事玉砕していた、はずだったのだが。
「宮ヶ谷よ。俺は日々成長する男だぜ。この前同じ塾の子に告ってオッケーをもらったんだよ」
「おまっ! マジかよ……」
まさかこんな奴に彼女ができるなんて。まったく世知辛い世の中だぜ……。
俺は何とも言えない悔しさが湧き出て唇を噛みしめる。
そして堂庭の方を見やると彼女は口元に手を当てて何か我慢しているようだった。
「ぷ、クスクス……。平沼、君に、彼女……ぷすっ」
あれ、笑っていらっしゃる?
「ちょっ、ニワッちゃん! 何がおかしいんだよ!」
「だってこんな最低な男子に彼女って、相手も見る目が無かったのね」
「いやいや! 寧ろ俺に告られた事に感謝しているはずだぜ?」
「はぁ? どうしたらそんな思考になるわけ? マジウケるんですけど」
もう手を口に押さえるのをやめてケタケタと嘲笑う堂庭。
何というか平沼にはいつも敵対心剥き出しだよな。
「ふふ、ふはははは。……ニワッちゃん、俺分かったぜ?」
「は? 何が?」
「ニワッちゃんには宮ヶ谷という旦那がいるから、高みの見物ってトコなんだろ?」
「な!? そ、そんな事……」
ピューっと顔が真っ赤に染め上がる堂庭。
だから平沼はからかってるだけだって。そんな真に受ける事もないのに……。
「ば、馬鹿じゃないの!? は、晴流なんか全然好きじゃないんだからっ!」
「ほほーん? だってさ、宮ヶ谷?」
「あぁ? 何故俺に聞く?」
「またまたー! さては夫婦の仲に乱入した事が嫌だったのかな?」
「おい堂庭。アイツを処分するぞ」
「オッケー、任せなさい!」
流石の俺でも耐えられない。平沼の奴はきっと彼女ができて俺達に自慢したかっただけなのだろう。
一度黙らせておく必要があるようだ。
「さぁ晴流! 行くわよー!」
堂庭の掛け声で俺達は同時に叫ぶ。
「「リア充滅ぶべし!!」」
「ちょっ! お前らが言えるセリフかよ!?」
平沼は動揺しながらも一歩、また一歩と後ずさる。
「くそっ! 今日はこの辺で退散してやる!」
「あ、逃げたわ! 追うわよ!」
一目散に教室から出ていく平沼を全力で追いかける。
だが平沼の足は想像よりも速く、確保には至らなかった。
「はぁ……。何やってるんだろうな。俺達は」
「ふふ、馬鹿みたいな一日だったわね」
「まったくだな。……もう帰るか」
「そうね」
静まり返った廊下で俺達は向き合い、苦笑いを浮かべた。
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