特殊科学研究事務所-muzina-
第5話 受け継がれる意志
その後、すーちゃんが俺らの怪我を治してくれた。やはり水の神だけあって、その力は本物だ。
「そっか……すーちゃんも今まで大変だったんだな」
『ほんとよう。でも、まさかあちしの記憶が戻るなんて思ってもいなかったわ。やっぱり友情の力なのかしらん♪』
「んぅぅー」
すーちゃんと俺が話していると、やっと麗奈が目を覚ました。
「すーちゃん、麗奈の記憶も戻してあげてくれないか? 俺らはもう大丈夫。ルーナである事を認めたから」
『分かったわ。れなちんともお話したいしね』
「んー?」
すーちゃんは、よく分からない顔をしている麗奈の前へ歩いて行き、麗奈の額に人差し指を置き、いつもとは違う口調で唱えた。
『天のモノよ地のモノよ その身に宿し魄 今解き放て!!』
「す、すーちゃん……?」
麗奈の瞳から涙がこぼれ落ちる。思い出せたようだ。
そのあと、俺らは思い出話に花を咲かせた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そろそろ帰ろうかと思い始めた頃、俺は口を開いた。
「そう言えばさっき、俺のじいちゃんがすーちゃんになんか言ったって言ってたよな」
『そうよ。「モノノケと人間の共存できる世界をつくる」って言われたわ』
「じいちゃんの言ったことだ。孫の俺にも責任がある。だからさ、その約束は俺が継ぐ」
『……ありがとう。そうだわ! あちしもそれを追いかけてアナタ達の手伝いをすることにするわ!』
手伝ってくれるのは嬉しいが、俺らの目的はあくまでじいちゃんの死因を探ることなんだよな。
『そうなのね。今のれいくんは覚悟を決めた目をしている。だからきっと大丈夫よ』
「うん。それにじいちゃんの求めた夢を受け継ぐことにしたい。人間とモノノケ、ゴーストも化身も皆共存できる世界にしたい!」
『それはまた大きな夢ですね……でもきっと実現できます。伶斗様の覚悟を決めたお顔は隆也にそっくりですから』
ムジナが微笑んで言ってくれた。
こいつらがいてくれると自信が湧いてくる。
最高の仲間達だと心から思った。
「すーちゃん、うちに来いよ。じいちゃんの元研究所、今の俺らの研究事務所で俺らの事を手伝ってくれないか?」
俺は改めてすーちゃんに頼んだ。
『もちろんよう! これからよろしくねんっ!』
新たな仲間が加わり、muzinaはさらに賑やかになりそうだ。
家に着くと、俺はまず自分の部屋へ向かった。
部屋で過ごすひとときが昔は一番好きだった。
目の前の空気をタップする。すると、青い画面が浮かんで来た。小遣いを貯めて去年にやっと買った、最新型の空間タッチパネルだ。空気をその部分だけ凝固させて画面を映し出している。
俺はスクロールしてニュースの欄を見つけ、タップする。珍しく大きな記事が載っていた。
「連続殺人事件か、最近は物騒な世の中だな」
独言を呟くと、
『どうも気になりますね。その事件。被害者の共通点が見当たりません』
以前なら無視していたであろうムジナの声が聞こえる。
「まあ確かに。でもキチガイとかだとそれは当てはまらないぜ」
別に声に出さなくていいのだが、ついつい声をあげてしまう。
「そんな事はいいから、事務所に行くか」
『行きますか』
研究事務所についた俺らを出迎えたのはいつもの二人……プラス水虎。
『ちょっとぉ! プラス水虎ってなによぉ!』
すーちゃんがぎゃあぎゃあ言っているが気にしない。賑やかなのはいい事だな。
思わず口元が綻びる。
「あ、珍しいっ! おにぃちゃんが笑ってる!」
『ほんとですね。伶斗様が笑うなんて』
失礼だな。俺だって笑う時くらいあるさ。
そんなことより……
 
「すーちゃんのことを攻撃して来た人間ってさ、どんな奴らだったか憶えてる?」
『ごめんねぃ。実は舎弟ちゃんだけで事足りちゃうのが多かったから分からないの』  
「そっか」
また振り出しに戻ったか……。
今度はどうやって手がかりを探そう。
『そう言えば! 昔あちしにおはぎくれたの覚えてる? あのおはぎがすっごく美味しくて!! また食べに行かない?』 
「いいねぇ! おっはぎっ! おっはぎっ!」
「ああ、あそこの和菓子屋は……」 
家の斜め向かいにあるよ。と言い掛けて俺は口を閉じた。
まてよ……確かあの店って最近人が入るのをみてないな。
『あそこの店は店主がルーナという噂がたってあまり人が寄り付かないようです』
「そうなのか。でもあそこの店のおはぎ、めっちゃうまいんだよな。よく考えれば俺らもルーナだし、ちょっと行ってみるか」
「おっはぎっ! おっはぎっ!」
『おっはぎっ! おっはぎっ!』
という訳でノリノリの妹とすーちゃんを連れ、和菓子屋❛晏月❜に行く事にした。
「そっか……すーちゃんも今まで大変だったんだな」
『ほんとよう。でも、まさかあちしの記憶が戻るなんて思ってもいなかったわ。やっぱり友情の力なのかしらん♪』
「んぅぅー」
すーちゃんと俺が話していると、やっと麗奈が目を覚ました。
「すーちゃん、麗奈の記憶も戻してあげてくれないか? 俺らはもう大丈夫。ルーナである事を認めたから」
『分かったわ。れなちんともお話したいしね』
「んー?」
すーちゃんは、よく分からない顔をしている麗奈の前へ歩いて行き、麗奈の額に人差し指を置き、いつもとは違う口調で唱えた。
『天のモノよ地のモノよ その身に宿し魄 今解き放て!!』
「す、すーちゃん……?」
麗奈の瞳から涙がこぼれ落ちる。思い出せたようだ。
そのあと、俺らは思い出話に花を咲かせた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そろそろ帰ろうかと思い始めた頃、俺は口を開いた。
「そう言えばさっき、俺のじいちゃんがすーちゃんになんか言ったって言ってたよな」
『そうよ。「モノノケと人間の共存できる世界をつくる」って言われたわ』
「じいちゃんの言ったことだ。孫の俺にも責任がある。だからさ、その約束は俺が継ぐ」
『……ありがとう。そうだわ! あちしもそれを追いかけてアナタ達の手伝いをすることにするわ!』
手伝ってくれるのは嬉しいが、俺らの目的はあくまでじいちゃんの死因を探ることなんだよな。
『そうなのね。今のれいくんは覚悟を決めた目をしている。だからきっと大丈夫よ』
「うん。それにじいちゃんの求めた夢を受け継ぐことにしたい。人間とモノノケ、ゴーストも化身も皆共存できる世界にしたい!」
『それはまた大きな夢ですね……でもきっと実現できます。伶斗様の覚悟を決めたお顔は隆也にそっくりですから』
ムジナが微笑んで言ってくれた。
こいつらがいてくれると自信が湧いてくる。
最高の仲間達だと心から思った。
「すーちゃん、うちに来いよ。じいちゃんの元研究所、今の俺らの研究事務所で俺らの事を手伝ってくれないか?」
俺は改めてすーちゃんに頼んだ。
『もちろんよう! これからよろしくねんっ!』
新たな仲間が加わり、muzinaはさらに賑やかになりそうだ。
家に着くと、俺はまず自分の部屋へ向かった。
部屋で過ごすひとときが昔は一番好きだった。
目の前の空気をタップする。すると、青い画面が浮かんで来た。小遣いを貯めて去年にやっと買った、最新型の空間タッチパネルだ。空気をその部分だけ凝固させて画面を映し出している。
俺はスクロールしてニュースの欄を見つけ、タップする。珍しく大きな記事が載っていた。
「連続殺人事件か、最近は物騒な世の中だな」
独言を呟くと、
『どうも気になりますね。その事件。被害者の共通点が見当たりません』
以前なら無視していたであろうムジナの声が聞こえる。
「まあ確かに。でもキチガイとかだとそれは当てはまらないぜ」
別に声に出さなくていいのだが、ついつい声をあげてしまう。
「そんな事はいいから、事務所に行くか」
『行きますか』
研究事務所についた俺らを出迎えたのはいつもの二人……プラス水虎。
『ちょっとぉ! プラス水虎ってなによぉ!』
すーちゃんがぎゃあぎゃあ言っているが気にしない。賑やかなのはいい事だな。
思わず口元が綻びる。
「あ、珍しいっ! おにぃちゃんが笑ってる!」
『ほんとですね。伶斗様が笑うなんて』
失礼だな。俺だって笑う時くらいあるさ。
そんなことより……
 
「すーちゃんのことを攻撃して来た人間ってさ、どんな奴らだったか憶えてる?」
『ごめんねぃ。実は舎弟ちゃんだけで事足りちゃうのが多かったから分からないの』  
「そっか」
また振り出しに戻ったか……。
今度はどうやって手がかりを探そう。
『そう言えば! 昔あちしにおはぎくれたの覚えてる? あのおはぎがすっごく美味しくて!! また食べに行かない?』 
「いいねぇ! おっはぎっ! おっはぎっ!」
「ああ、あそこの和菓子屋は……」 
家の斜め向かいにあるよ。と言い掛けて俺は口を閉じた。
まてよ……確かあの店って最近人が入るのをみてないな。
『あそこの店は店主がルーナという噂がたってあまり人が寄り付かないようです』
「そうなのか。でもあそこの店のおはぎ、めっちゃうまいんだよな。よく考えれば俺らもルーナだし、ちょっと行ってみるか」
「おっはぎっ! おっはぎっ!」
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