記憶改竄的現世界物語
第11話:ニルア・テラ
学校は閉鎖になった。
近々近校と合併するらしいが、それまでの間は休業....正直ありがたかった。
俊介は仮面を達也ごと燃やしてしまった。
これで再び手がかり0だ。
記憶を読んで【ジェミニ】と言う組織の存在を把握したり、追っ手の【能力】タイプもなんとなくで掴めたのだから0では無いのだろうが....。
━…━…━…━…
季子に案内されるままに時計台の下に来た。
「ここよ」
季子が財布からカードを取り出す。
入ったのは豪華な高層マンションだった。
エントランスでカードを通す季子。
ドアが開くのと共に内側からスーツ姿の黒服男が出てきた。
男を無視して進む季子。
エレベターに乗り39階まで登る。
全部で54階まで存在したこのマンションの何処に向かっているのだろうか?などの疑問が頭をよぎる。
ポーンと音が鳴るのと同時にエレベーターの扉が開く。
「お待ちしておりました、季子様。勝治様」
黒服男が丁寧な礼を見せる。
コイツ....なんで俺の名前を?
男に案内されるまま廊下を進んでいく。
正直ここだけで迷子になりそうだ。
【3907】。案内された部屋の扉にはそう書かれていた。
ドアを開ける黒服。
室内には一つの大きな机が置いてあり、レザーチェアの背中がこちらを向いていた。
「お二人様がお見えになりました」
背を向けるレザーチェアに向かって礼を見せる黒服。
そのまま部屋を出て行った。
レザーチェアがゆっくりとこちらを向く。
「やぁ!季子お姉ぇちゃん!久しぶり~!!」
....?
幼女?
見た目小学校高学年ぐらいの女の子がレザーチェアに座っていた。
右手に大きめのサイコロを持って....。
「....あれ?その男の人誰?彼氏?」
物凄く丸い目でこちらを凝視してくる幼女....。
「聞きたいことがあるの。貴方【ジェミニ】って知ってる?」
「っも~☆本当に冷たいなぁ、お姉ぇちゃんは....」
「ごめんなさいね、でも急いでるの」
地面に置いてあったプラレールの電車を取り出すと、机の上を線路もなしに走らせた。
電車が地面に落ちて電池が飛び出すのと同時に、その幼女はニッコリと笑った。
「ほんと、お姉ぇちゃんって嘘つくの下手くそだよね?」
「【ジェミニ】に命狙われてるの?....いや、もう既に誰かと接触したんだね?」
「それで、その接触した相手だけだと情報が足りないから私の所に来たと....」
はぁ....と溜息を付く季子。
「貴方と話すと内心まで全部見られてる様な気分になるから嫌なのよ」
「そう?私はお姉ぇちゃんと話せてとっても楽しいけどな~」
季子と彼女の会話を聞いていて違和感が消えてくれない。
見た目のギャップもそうだが、何より季子がこの娘に対して敗北宣言に近いモノを発している事に違和感が絶えない。
「それで?ジェミニについて何か知ってる事は無い訳?」
「名前すら聞いた事ない」
「そう」
季子がその幼女を睨む。
するとその娘は両手の平を季子に見せた。
「ごめんって。名前は知ってる。メンバーの一人が知人にいるんだもん」
「ただ....私彼嫌いなのよね。煙草臭いし」
そう言ってこちらを見つめる幼女。
「え?嘘。俺煙草臭いの?」
「ハハハ、冗談だよぉ。面白いんだね、彼氏さん」
「彼氏じゃないっての....」
頭を掻きながら呆れ口調で言う季子。
「俺は赤松 勝治。訳あって季子の手伝いをしてる」
「そうなの?私テラ。ニルア・テラ。」
テラ....外国人だろうか?
青色の目から日本人ではないだろなとは思っていたが、ハーフなのだろうか?
「お姉ぇちゃんとは親戚関係なの♪」
「親戚?」
「えぇ。私の叔父の娘」
「といっても叔父が本家の養子だから、血の繋がりは無いんだけどね」
「そゆこと~」
両手を広げ子供の様にはしゃぐテラ。
その動作がピタリと止まり、彼女は再び俺の目をじっと見つめた。
「貴方もお姉ぇちゃんと同じ異能力者なんでしょ?」
「能力は【人の記憶を弄る】って言った所で合ってる?」
ドクリと心臓の音が鳴ったのが分かった。
数秒もしないうちに冷や汗が流れる。
「どうして?」
「どうしてって、お姉ぇちゃんがこの部屋に入ってからずっと能力を使ってるんだもの。そりゃぁ分かるよぉ~♪」
「知ってた?お姉ぇちゃん。能力使うと右の口角が少し下がるの」
「テラ!」
初めて知った。
と言うか気付かなかった。
何度も季子が能力を使っているのは見ていたが....。
本当だ。
本当に右の口角が下がってる。
それで季子が何を隠してるかを推理で当てて、その理由を俺の能力から守る為だってところまで考え出したってのか?
ニルア・テラ。コイツも季子と同じかそれ以上の頭脳を持ってるのか....。
どうして...こう....。
まぁいい。この気持ちは噛み殺しておこう。
テラが電池の抜けた電車を拾い、また遊びだす。
「えーと....【ジェミニ】のメンバーを紹介するって話だっけ?それしなきゃダメ?」
「ダメ」
「えー」
「でも私の予想が正しければ、もうそろそろ向こうから来るよ」
「「え?」」
俺と季子はテラが指さした方を同時に見た。
そこにはひとりの男が立っていた。
突然煙草の煙が男の周りを囲った。
その煙が消えると、男はその場から消えた。
気付くとテラを抱えて彼女の頭に銃を突きつけていた。
「これの意味が分かるか?」
男のその不明瞭なハスキーボイスが部屋の中に響く。
「人質なんて取ってどうするつもりだ」
「付いて来てもらおう」
男の不明瞭な声はどこかドスが効いていて、どこからか震えが出てきた。
「だから私は貴方が嫌いなのよ....煙草臭いし」
テラは不快そうな表情を見せた。
テラは右ポケットから鉄球を取り出して、机の上に置いてあった電車にぶつけた。
電車はコロコロと動き出し地面に落ちた。
地面に落ちる瞬間。電車は後ろに積まれていたドミノを一つ倒す。
さっきの角度からだと死角になっていて分からなかったが、そのドミノは後ろの仕掛けまで続いていた。
最後のドミノが倒れる瞬間。男の足にハンマーの様なモノがかなりの速度で当たった。
「ウゴッ」と嗚咽を漏らし足を抑える男。
その隙にテラは男の腕からヒョイっと抜けて、季子の後ろに回った。
男に向かってベーとするテラ。
この女....どこまで計算してるんだ?
近々近校と合併するらしいが、それまでの間は休業....正直ありがたかった。
俊介は仮面を達也ごと燃やしてしまった。
これで再び手がかり0だ。
記憶を読んで【ジェミニ】と言う組織の存在を把握したり、追っ手の【能力】タイプもなんとなくで掴めたのだから0では無いのだろうが....。
━…━…━…━…
季子に案内されるままに時計台の下に来た。
「ここよ」
季子が財布からカードを取り出す。
入ったのは豪華な高層マンションだった。
エントランスでカードを通す季子。
ドアが開くのと共に内側からスーツ姿の黒服男が出てきた。
男を無視して進む季子。
エレベターに乗り39階まで登る。
全部で54階まで存在したこのマンションの何処に向かっているのだろうか?などの疑問が頭をよぎる。
ポーンと音が鳴るのと同時にエレベーターの扉が開く。
「お待ちしておりました、季子様。勝治様」
黒服男が丁寧な礼を見せる。
コイツ....なんで俺の名前を?
男に案内されるまま廊下を進んでいく。
正直ここだけで迷子になりそうだ。
【3907】。案内された部屋の扉にはそう書かれていた。
ドアを開ける黒服。
室内には一つの大きな机が置いてあり、レザーチェアの背中がこちらを向いていた。
「お二人様がお見えになりました」
背を向けるレザーチェアに向かって礼を見せる黒服。
そのまま部屋を出て行った。
レザーチェアがゆっくりとこちらを向く。
「やぁ!季子お姉ぇちゃん!久しぶり~!!」
....?
幼女?
見た目小学校高学年ぐらいの女の子がレザーチェアに座っていた。
右手に大きめのサイコロを持って....。
「....あれ?その男の人誰?彼氏?」
物凄く丸い目でこちらを凝視してくる幼女....。
「聞きたいことがあるの。貴方【ジェミニ】って知ってる?」
「っも~☆本当に冷たいなぁ、お姉ぇちゃんは....」
「ごめんなさいね、でも急いでるの」
地面に置いてあったプラレールの電車を取り出すと、机の上を線路もなしに走らせた。
電車が地面に落ちて電池が飛び出すのと同時に、その幼女はニッコリと笑った。
「ほんと、お姉ぇちゃんって嘘つくの下手くそだよね?」
「【ジェミニ】に命狙われてるの?....いや、もう既に誰かと接触したんだね?」
「それで、その接触した相手だけだと情報が足りないから私の所に来たと....」
はぁ....と溜息を付く季子。
「貴方と話すと内心まで全部見られてる様な気分になるから嫌なのよ」
「そう?私はお姉ぇちゃんと話せてとっても楽しいけどな~」
季子と彼女の会話を聞いていて違和感が消えてくれない。
見た目のギャップもそうだが、何より季子がこの娘に対して敗北宣言に近いモノを発している事に違和感が絶えない。
「それで?ジェミニについて何か知ってる事は無い訳?」
「名前すら聞いた事ない」
「そう」
季子がその幼女を睨む。
するとその娘は両手の平を季子に見せた。
「ごめんって。名前は知ってる。メンバーの一人が知人にいるんだもん」
「ただ....私彼嫌いなのよね。煙草臭いし」
そう言ってこちらを見つめる幼女。
「え?嘘。俺煙草臭いの?」
「ハハハ、冗談だよぉ。面白いんだね、彼氏さん」
「彼氏じゃないっての....」
頭を掻きながら呆れ口調で言う季子。
「俺は赤松 勝治。訳あって季子の手伝いをしてる」
「そうなの?私テラ。ニルア・テラ。」
テラ....外国人だろうか?
青色の目から日本人ではないだろなとは思っていたが、ハーフなのだろうか?
「お姉ぇちゃんとは親戚関係なの♪」
「親戚?」
「えぇ。私の叔父の娘」
「といっても叔父が本家の養子だから、血の繋がりは無いんだけどね」
「そゆこと~」
両手を広げ子供の様にはしゃぐテラ。
その動作がピタリと止まり、彼女は再び俺の目をじっと見つめた。
「貴方もお姉ぇちゃんと同じ異能力者なんでしょ?」
「能力は【人の記憶を弄る】って言った所で合ってる?」
ドクリと心臓の音が鳴ったのが分かった。
数秒もしないうちに冷や汗が流れる。
「どうして?」
「どうしてって、お姉ぇちゃんがこの部屋に入ってからずっと能力を使ってるんだもの。そりゃぁ分かるよぉ~♪」
「知ってた?お姉ぇちゃん。能力使うと右の口角が少し下がるの」
「テラ!」
初めて知った。
と言うか気付かなかった。
何度も季子が能力を使っているのは見ていたが....。
本当だ。
本当に右の口角が下がってる。
それで季子が何を隠してるかを推理で当てて、その理由を俺の能力から守る為だってところまで考え出したってのか?
ニルア・テラ。コイツも季子と同じかそれ以上の頭脳を持ってるのか....。
どうして...こう....。
まぁいい。この気持ちは噛み殺しておこう。
テラが電池の抜けた電車を拾い、また遊びだす。
「えーと....【ジェミニ】のメンバーを紹介するって話だっけ?それしなきゃダメ?」
「ダメ」
「えー」
「でも私の予想が正しければ、もうそろそろ向こうから来るよ」
「「え?」」
俺と季子はテラが指さした方を同時に見た。
そこにはひとりの男が立っていた。
突然煙草の煙が男の周りを囲った。
その煙が消えると、男はその場から消えた。
気付くとテラを抱えて彼女の頭に銃を突きつけていた。
「これの意味が分かるか?」
男のその不明瞭なハスキーボイスが部屋の中に響く。
「人質なんて取ってどうするつもりだ」
「付いて来てもらおう」
男の不明瞭な声はどこかドスが効いていて、どこからか震えが出てきた。
「だから私は貴方が嫌いなのよ....煙草臭いし」
テラは不快そうな表情を見せた。
テラは右ポケットから鉄球を取り出して、机の上に置いてあった電車にぶつけた。
電車はコロコロと動き出し地面に落ちた。
地面に落ちる瞬間。電車は後ろに積まれていたドミノを一つ倒す。
さっきの角度からだと死角になっていて分からなかったが、そのドミノは後ろの仕掛けまで続いていた。
最後のドミノが倒れる瞬間。男の足にハンマーの様なモノがかなりの速度で当たった。
「ウゴッ」と嗚咽を漏らし足を抑える男。
その隙にテラは男の腕からヒョイっと抜けて、季子の後ろに回った。
男に向かってベーとするテラ。
この女....どこまで計算してるんだ?
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