創成の転生者〜最強魔導師の転生記〜

RAKIHA

第49話 変わった日常

課外実習から2週間が経過した。あれからはいつも通り、研究室にこもって研究をしている。が、少々厄介なことが起きるようになっていた。

「ユリ!隠れなさい!!」
「・・っ!またですか!!」

僕はとある人物から隠れている。見つかったら非常にまずいことになるのである・・・。その人物は2週間前、僕にかなり厄介になった人物だ。

「アリス先生 !今日もユリエルくんはいらしていないのですか?」
「え、ええ。最近は顔を出していないわ。まだ家で寝ているのかも・・・」
「わかりました。ユリエルくんがここに来るときは私に連絡をお願いしますね」
「りょ、了解・・・」

あれから毎日。朝8時ごろにAクラスのマリー=カロリング王女がやって来るのである。僕がいる研究室に。

「もう大丈夫よユリ君。王女様は帰ったわ」
「ほ、本当に心臓に悪い・・。まさか本当に実行するとは・・・」

王女様は課外実習の時に言っていたのだ。僕を授業に出させるように説得すると。僕はシャドウハンターを倒した後に、前のままでいいと言ったのだが・・・。そこは王女様的に譲れなかったようだ。授業にはちゃんと出るようにしてほしいのだろう。

「課外実習といい、ユリ君は本当に大変ね・・・。はい紅茶」
「あ、ありがとうございます」

僕はアリスさんから紅茶を受け取り、ゆっくりと口に流し込む。暖かい紅茶の温度が、身体に染みていく。

「とりあえず、今日は僕帰ります」
「ああ。そういえば寝室ができたって言ってたわね」
「はい。建物ができたので、あとは中身だけです」

僕は今回の任務の報酬として、学園長から新しい家屋を建ててもらった。連盟本部からは、シャドウハンターの討伐報酬として莫大な金額をもらった。

「ちなみに。本部からはいくらもらったの?」
「ええっと。100億エールです」

これは国家予算並みの金額である。ちなみに1エールが最も低い値段であり、平民の一般的な年収は100万エールである。貴族ともなれば、1億エールはいくのだろうが、僕はその100倍である。

「ひゃ、100億・・・。私の時の50倍くらいね・・・」
「ああ、Sランクモンスターですか。そういえば何を倒したんですか?」

SSランカーということは知っているが、何を倒したのかは知らない。

「あれ?教えてなかったっけ?Sランクモンスターのガゼルウルフよ」
「ガゼルウルフですか。聞いたことないですね」
「まあ、討伐されたモンスターだしね。いつ復活するかわからないけど」
「また生まれたら面倒ですね」

と、会話をしていた時に授業の開始を知らせる鐘が鳴る。

「じゃあ、僕は行ってきますね。昼過ぎには終わると思うので」
「はいはい。いってらっしゃい」

僕は研究所を後にし、家の寝室を作りに出かける。




「さて、作りますか」

僕は完成した家屋の中に入り、作業を始めた。家屋の外観は煉瓦造りの少し大きめな小屋といった感じだ。リクエストした通り、床は加工されていない。

まず僕はこの床に植物を生やす。

「ユグ。頼む」
(はいはい。わかってるわ)

頭の中で呼びかける。彼女は僕の思った植物を生み出してくれた。
足首ほどの高さの草が小屋の床に生まれる。

「ありがとう。これに魔法を・・・」

この草たちに魔法を付け加えると、とある効果を持った植物に生まれ変わる。

「【癒しの効果を付けろ】」

唱えたとたん、生えていた草花が光り始める。まるで、聖なる花園ホーリーガーデンのような光景だ。が、光っている光りは癒しの効果を持つので少し違う。


「よし。次は水ためだな」

次に、小屋の中央に大きめの穴を開ける。そこに水を溜め込み、その水にも先ほどと同じように癒しの効果を付ける。
水も光を放ち始め、部屋の中が明るくなった。
正直寝るには眩しいが、寝るときはアイマスクをするので問題ない。

「じゃあ最後だな。これが1番重要なんだが・・・・」

僕は最後の仕上げをすることにした。この寝室を作った目的であり、1番のメインの器具である。

「【8本の鎖を創造 僕が水に入り念じたとき時 僕の身体に巻き付くようにしろ】」

ルーン魔法を使い、鎖を創造するように唱える。すると何もない空中から8本の鎖が出現。それは宙を舞っており、先端の片方が宙に固定された。
僕は鎖にも癒しの効果を付属し、水の中に入る。

「巻きつけ」

魔力を込めずに念じながら呟くと、鎖は僕に巻きつき締め上げる。痛みはない。鎖は僕に巻き付いていない部分がピンと張っており、見た目上全く寝室には見えない。が、癒しの効果満載のこの部屋は、絶大な回復効果を誇っている。

「・・・回復はいい。水が丸くなって宙に浮くようにしよう」

ルーン魔法でそう命令をだし、効果を付属。すると、僕が浸かっていた水溜めの水が少量宙に浮いた。これは中々幻想的な光景だ。


「さて、できたことだしそろそろ上がろうか・・」

僕が上がる動作をした途端、鎖が僕の身体を解放した。そのまま上がると、身体がとても軽かった。

「回復は素晴らしいな。これでかなり快適な目覚めになるなぁ〜」

僕は大満足しながら小屋を出ていく。そこで、昼休みを告げる鐘が鳴った。

「・・・昼食を作ろう・・」

僕は昼食を作るために、研究室に戻った。




昼食を作りに戻る途中、とある人物に遭遇してしまった

「こんにちは」
「・・・どちら様ですか?」

僕は見覚えのない女性に話しかけられた。金がとても目立つ、歳の近い少女だ。

「ああ、ごめんなさい。私はフアナ=フィリップと申します。あなたは、ユリエル=フロウドさんですね?」
「・・・っ!そうですが、どうして僕のことを?」

僕は思い出してしまった。入学式の日に、僕が助けた侯爵令嬢だ。思いっきり忘れていた。

「上級生からもそれなりに有名ですよ?中等部1年生にして、Aランクの実力の持ち主」
「・・・・僕になんの用が?」

何か企みがあるなら、この場で確認しておく必要がある。色々と面倒なことになるのはごめんだ。

「いえ。特に用はありませんよ。夏のクラス対抗戦ではいろんな方があなたに注目していますので、挨拶をと思いまして・・・」
「クラス対抗戦ですか?」

そんな行事があるとは・・・知らなかった。が、それについて気になったことがある。

「僕が・・・注目されているんですか?」
「ええ。期待の1年生としても、強敵としても」

はっきり言ってめんどくさい。ここは学園長あたりに相談してみよう。

「それでは御機嫌よう。お時間をお取りしましたね」
「あ、ああ。大丈夫です」

フアナお嬢様・・・もうこの際フアナさんでいいだろう。フアナさんの後ろ姿を眺めながら、僕は憂鬱げにため息をついた。

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コメント

  • KaZu.初心者【現在】

    更新やってー!!2021年なし

    0
  • 通りすがりの猫好き

    2020 更新なし

    0
  • 森

    楽しかったです!!
    続きを心待ちにしています。

    0
  • 星夜神奈

    続き楽しみにしてます

    0
  • ノベルバユーザー342525

    次の投稿お願いします!

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